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トランプは、中国とディールする。

交渉の達人 トランプ―若きアメリカ不動産王の構想と決断

 トランプ大統領の手法は、初めに恫喝として価格を上げておいて、それから若干値を下げて交渉をまとめるという手法です。当初の価格よりは下がっているので、取引相手も満足し、こちらも満足というわけです。

  それを見せつけられたのが北朝鮮に対する交渉でした。率直に言って、トランプが北朝鮮と直接交渉する、ましてや朝鮮にとって有利な条件を受け入れるとは予測していませんでした。

 しかし、このディールのおかげで、少なくとも一時的には北朝鮮問題は後景にしりぞき、中間選挙に影響を与えることはありませんでした。

 ただ、その肝心の中間選挙ですが、残念ながら下院では共和党の優位は維持できませんでした。相当選挙に関与したにも関わらず、敗北したので、おそらくトランプ大統領も、その原因を振り返っているはずです。

 その一つの要因は、中国貿易に対する関税引き上げであるといえます。大統領選での勝利を確保するためには、失った票をどこかで取り戻す必要があります。となると、今後のトランプ大統領の中国への接近は、想定しておくべきということになるでしょう。以下はHillからです。

 「金曜日に、トランプ大統領は、「中国は米国との取引を望んでいる」と述べたが、いかなる取引も互恵的なものでなければならないと指摘した。
 大統領は金曜日にホワイトハウスで記者団に語った。
 「彼らは、喜んでやるべきことのリストを送った。これは大きなリストであった」と、中国が妥協する意思を示している項目のリストを参照して、彼は付け加えた。
 「われわれは取引をすることになるだろうと思う。すぐに決着はつくだろう」と彼は続けた。「我々は互恵的な貿易を持たなければならない。愚かな人たちのために貿易をすることはできない。中国は我が国を利用するような方法でだ。」
 中国の商務省がワシントンとの貿易交渉を再開したと発表した1日後、金曜日のトランプ大統領の発言がなされた。
 ロイター通信は、北京が交渉を開始する可能性のある貿易改革に対する米国の要求に対し書簡を送ったと報じた。しかしながら、情報源は、この対応が譲歩になっていたかどうかに関しては明らかにしなかった。
 木曜日、中国商務省のガオ・フェン報道官は、今月末にアルゼンチンで開催される20回首脳会議で、トランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談に先立ち、両国とも「緊密な接触を維持している」と述べた
 中国と米国は、過去2カ月間に数十億ドルの関税引き上げを行っており、世界の2大経済大国が衝突する中、世界市場はギリギリの均衡を保っている。」

Trump: China is eager to make a deal on trade | TheHill

 しかし、その一方で、EUと中国、それにカナダ、メキシコが鉄鋼関税に関してWTOに提訴する模様です。中国はともかく、EU、とりわけ、ドイツはトランプ大統領から相当プレッシャーを受けることになるのではないでしょうか。

 ただでさえ、欧州軍の創設をフランスのマクロン大統領と提唱し、トランプにこっぴどく批判されたところです。フランスと言えばルノーによる日産の吸収は失敗しました。

 為替の面でも、アメリカと中国のディールは一旦はユーロの上昇につながると見られますが、中長期的には、アメリカからの厳しい対応により苦境に陥る可能性が高いといえます。