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日産を守るためのゴーン逮捕劇

風と共に去りぬ (字幕版)

 ゴーンといえば、Gone with the windなわけで、クラーク・ゲーブルの方が印象が深いです。いえ、ただ単に発音が同じなだけですが。とまあ、冗談はさておき、カルロス・ゴーン逮捕の背景です。

 日経新聞からです。

「 日産はルノーよりも格上だと自負する。19日時点の時価総額は日産が4兆2439億円、ルノーが174億6500万ユーロ(2兆2500億円)と9割上回る
 仏政府は自国産業を育てるため日産を影響下に置きたい意向をかねて示してきた。14年4月に株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与える「フロランジュ法」を制定し、ルノーを通じた経営干渉の構えを見せた
 15年12月、仏政府は日産への経営に関与しないことで合意。これを主導したのがゴーン会長だった。
 「日産の経営判断に不当な干渉を受けた場合、ルノーへの出資を引き上げる権利を持つ」と確認した。仮に日産がルノー株を25%以上まで買い増せば、日本の会社法によりルノーが持つ日産株の議決権が消滅する。いわば日産にとって仏側に対抗する唯一の「伝家の宝刀」を得た。ゴーン会長にとってこの宝刀は、時に同氏に圧力をかける仏政府への抑止力ともなっていた。
 風向きが変わったのは18年2月。ゴーン会長が6月以降もルノー最高経営責任者(CEO)職を続投することが決まった時だ。いずれゴーン会長がトップの座をおりても協力関係が壊れないような枠組み作りが仏政府が出した再任の条件だったとされる。
 ダイムラークライスラーなど経営統合や買収という資本の論理で進められた自動車のグローバル再編がいずれも苦戦した中で、最も成功した例とされてきた日産ルノー連合。ゆるやかな資本関係でそれぞれの自主性を担保したことが功を奏したが、ゴーン会長というカリスマの力が資本を越えた結びつきを実現してきた側面も大きい。

そのゴーン会長が突然、権力を失ったことで、これまでの関係は揺らぎかねない。とはいえ14年に部品などの購買や研究・開発、生産など4つの機能を統合しており、日仏連合は逆戻りできない関係でもある。仏政府とルノー、日産と三菱自動車というそれぞれの関係者の思惑を満たす解を見いだすのは容易ではない。」

日産・ルノー統合、9月に議論 ゴーン会長逮捕で霧散 :日本経済新聞

 やはり、フランス政府がルノーを通じて日産を吸収合併しようとしたというのが、今回の解任劇の最大の理由であったと考えられます。そろそろ、日産もルノーと決別する時期なのでしょう。

 この日経の記事では、研究開発の統合も挙げられていますが、またばらして困るのはルノーの方でしょう。市場も小さく、技術力もないフランスの国営企業をこれ以上救済する必要はありません。早く離婚が成立することを希望します。