日銀陰謀論と今後のドル円相場
日銀に関する陰謀論とそれをもとにしたドル円レートの今後を考えます。
日銀の陰謀論といえば、リチャード・ヴェルナーを置いて他はありません。彼の主張は、簡単に言えば、中央銀行の信用創造量、つまりマネーサプライと経済成長は比例するというものです。
ですから、この20年ばかりは、日本の景気が低迷していたのは、日銀のマネーサプライが少なかったからだという議論が成り立ちます。
それで、調べてみると確かにその通りなのです。
日本のマネーサプライ
source: tradingeconomics.com
次にアメリカのマネーサプライを示しましょう。
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いかがでしょうか。確かに、ヴェルナー説は正しそうです。特に80年代末は後の福井日銀総裁が、営業部で窓口指導により銀行にバンバン資金を貸し出していた時期とも重なります。少なくとも80年代末からの日本のバブルは日銀が貢献していたといえるでしょう。
ただ、90年代からがいただけません。日本の方は90年代初頭の通貨量発行が二倍になるのに20年以上かかっています。それに対し、アメリカは同時期に3倍程度になっています。
問題は発行量はだれが決めるのかということです。日銀が決定していたとすれば、日銀は故意に日本の経済成長を阻害していたという主張も成り立つでしょう。
なぜこんなことを思い出したかというと、次の記事をたまたま目にしたためです。
マネーサプライが減少すれば、株安につながることは理解できます。しかし、それ以上にドル高にもなるだろうというのが私の推測です。
ただ、日銀の動向にも注目で、日銀もFRB以上の金融収縮を行った場合は、円高になります。
FRBは量的緩和を収縮させ続けるでしょうから、アメリカ株は順調に下落するでしょう。それは事実として決定事項とみることができます。したがって、日銀の動向を調べれば、今後の展開もある程度予測できます。
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この表を見る限りでは、4月にマネーサプライが急増していることがわかります。そして、その後のドル円のレートも今年の3月22日に104.85をマークした後は、現在では113.21程度です。マネーサプライが増加すれば、3か月程度をかけて円安に進むことがわかります。
ただ、そんなにスムーズに話が進むかというとそうでもなさそうなのです。
これはここ数か月のアメリカのマネーサプライを見ればわかります。
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今年の3月を基準に考えると、9月の段階で2.4%程度のマネーサプライの増加が見られます。それに対して、日本の場合は3月から4月にかけて、1.4%程度上昇しており、それ以降は横ばい状態です。ドルのマネーサプライが徐々に増大しているので、円高の危険性が日に日に高まっているという言い方もできそうです。
それでも、まだ謎は残ります。FRBは量的緩和を収縮という話が、上のグラフからは全くうかがえないということです。これは、一つにはトランプ大統領の圧力であろうと推測できます。もう一つは、アメリカという国家の赤字体質が簡単には治らないということです。どちらかといえば、トランプの圧力だと思うのですが。少なくとも、9月までの傾向が続く限り、ドル安・株高は、もう少し続くのではないでしょうか。