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中国による日本潜水艦の分析

中国情報部―いま明かされる謎の巨大スパイ機関

 最近、といっても数年前ですがエフティミアディスさんにお目にかかったことがあります。その時は日本大使館にお勤めでした(今は知りませんが)。中国情報機関の専門家が日本で勤務、というのは米中対立というその後のストーリーを予見させるものでした。

 事情は中国も同じです、というのが今回のお話。

  中国人民解放軍の情報機関や国家安全部にとって最も関心があるのが、日本の潜水艦の実力です。中国側が収集した情報は、時折、中国メディアに露出することになります。今回はそこから日本の潜水艦の実力を検証することにしましょう。

 例えば最近就航した「おうりゅう」については次のように報じられています。

「2018年10月6日、中国の著名な軍事専門家・張召忠(ジャン・ジャオジョン)氏が自身の微博アカウント上で、このほど進水式を終えた日本のおうりゅう潜水艦について解説した。

 張氏は自身の微博アカウント「局座召忠」で、「4日に日本のそうりゅう型通常動力潜水艦の11番艦おうりゅうが進水した。全長85メートル、水中排水量3300トンで世界最大級のトン数と最高レベルの性能を持つ通常動力潜水艦だ。同型潜水艦は2023年までに13隻を建造予定で、現在すでに9隻が就役している」と紹介した。

 また、おうりゅうの動力について「従来の鉛蓄電池に代わり、リチウムイオン電池を採用している。これは潜水艦技術において画期的な革命だ!従来の鉛蓄電池は人1人ほどの高さでありながら充電に時間がかかる割に電力が十分でなく、水面に浮上して充電しなければならなかったからだ」としている。

 さらに、おうりゅうは酸素を必要としないスターリングエンジンを採用する、いわゆる非大気依存(AIP)動力で、水中で2週間連続して作業することが可能であること、電池の体積や重さが明らかに小さくなった一方でエネルギー密度は数倍に、電池容量も3倍以上に増加して原子力潜水艦に匹敵するスペックになったこと、艦内の空間増加と情報化レベルの向上を実現したことを伝えた。そして、このハイスペックな潜水艦を建造したのが民間企業の三菱重工であることにも言及した。

 おうりゅうに対する張氏の評価に対し、中国のネットユーザーは「日本の科学技術が中国より10年以上リードしていることを認めないわけにはいかない」「いや、10年どころか20年ぐらいはリードされている」「わが国が追いつくには、科学と教育の重視が必要だ」「日本の軍備工業の発展については、本当に真剣にかつ厳粛に見つめなければ駄目。そうりゅう型潜水艦は、われわれにとって強敵だ」「三菱重工は第2次世界大戦中に多くの戦艦や飛行機を造ってたからな」などといった感想を寄せている。(以下略)」

著名軍事専門家が日本の潜水艦「おうりゅう」を分析=中国ネ...|レコードチャイナ

 中国側は比較的冷静に日本の潜水艦の能力を考察していることがわかります。そして、それ自身が中国にとっての大きな脅威であることも理解しています。

また、環球時報にも次のように報道されています。

「2018年10月4日、環球時報は、日本の海上自衛隊の新しいそうりゅう型潜水艦が進水し、「おうりゅう」と命名されたことを報じた。

 記事は、日本メディアの報道として「海上自衛隊の最新のそうりゅう型潜水艦の進水式が4日、神戸市兵庫区三菱重工神戸造船所で行われ、豊富な知識を持つ縁起の良い龍という意味を持つ『おうりゅう』と命名された」と伝えた。

 また、同潜水艦は2020年に防衛省に引き渡される予定で、現在のところ同潜水艦が配備される場所は決まっていないものの、日本の海上防御の第一線に運用されることになるとした。

 さらに、同潜水艦の建造費が660億円とするとともに、スペックについて「全長84メートル、水中時速約20海里。水中の持久力と速度を強化するために、エンジンに電気自動車にも用いられるリチウム電池を初めて装備しており、世界初のリチウム電池ディーゼルエンジンを組み合わせた潜水艦となった。また、ステルス性能も備えている」などと紹介した。 」

「これが敗戦国?」海自の最新鋭潜水艦「おうりゅう」進水に...|レコードチャイナ

 このように比較的冷静に報道していることがわかります。ショッキングなのは、日本側の公式メディアよりもその内容が詳細であることです。

「2018年8月3日、鳳凰網は、海上自衛隊の「そうりゅう」型潜水艦について「すごい部分はあるが、恐れることはない」とする記事を掲載した。

 記事は「海上自衛隊は全体的にバランスの取れた実力と、先進レベルの実力、充実した武器装備を持ち、一定規模かつ強い戦闘力を持っている。特に対戦能力の強化に力を入れており、その実力は米国以外の他国海軍をしのぐ。そして同時に潜水艦の発展も非常に重視しており、現在までに20隻前後の新型潜水艦を持つなど、地域において軽視できない水面下の軍備力となっている」とした。

 その上で「代表的なものはそうりゅう型潜水艦で、海上自衛隊における通常動力潜水艦の屋台骨となっている。先代のおやしお型をグレードアップさせたそうりゅう型の初号艦は2005年に建造が始まり、09年3月に就役した。その特徴はAIP(非大気依存推進)技術の採用にあり、水中での航続能力を大幅に向上させた」と説明している。

 さらに「先進的な戦闘システムが配備され、自動化レベルが高く、海上自衛隊の管制支援システムと米海軍の戦術ネットワークの双方に対応していることから、水中での攻撃力や生存力が従来に比べ大きく向上した。また高強度の鋼鉄からなるボディーにより、水深500メートルでも行動が可能であり、ゲリラ隊のような機動力を発揮する。HU-606型533mm魚雷発射管を6門備え、89式魚雷やハープーン級対艦ミサイルを発射できる」とした。

 そして「そうりゅう型潜水艦の存在により、水文状況の複雑な黄海東シナ海海域における日本の水中戦力の活動範囲は大きく広がり、中国海軍に対する抑止力が一層高まった。しかし、現代の戦争で制海権を掌握するには、さまざまな軍備や兵力による共同作戦が必要であり、潜水艦同士の単独戦闘ですべてが決まるわけではない。そうりゅう型はどう猛ではあるが、何も恐れることはないのである」と評している。」

日本の最新型潜水艦、確かにすごいが恐れることはない―中国メ...|レコードチャイナ

 水深500mでも活動可能というのは、いまでも表立って話ができない話題であったはずです。一方で、中国側の潜水艦は推進200m程度が活動限界ですから、中国側の潜水艦は、それより300m近く深いところから潜水艦でばかすか攻撃されることになります。これでは中国側の被害が大きくなるばかりです。特に89式魚雷の効果は抜群で、一旦戦争が始まれば、中国側は完全に惨敗するとみられています。

 中国側にも、サイバー戦能力や人工衛星を用いた攻撃など、アメリカや日本にも対応できない攻撃手段がありますが、潜水艦の実力差がこれだけ大きければ中国は日本・アメリカとの戦争で惨敗することでしょう。