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アメリカはサウジアラビアとの同盟を維持できるのか

住んでみたサウジアラビア: サウジアラビアでの3000日 (滞在記)

 結論から言えば、ギリギリのところで維持できるはずなのですが…。

 「 「複数の米メディアは15日、サウジ政府がトルコのサウジ総領事館内で著名記者ジャマル・カショギ氏が殺害されたと認める検討をしていると報じた。サウジはカショギ氏が館内で殺害されたことなく総領事館を去ったと説明した経緯があり、事実関係の認識を大きく変えることになる。
 トランプ氏は15日、訪問先のジョージア州で記者団にカショギ氏が殺害された疑惑について「ひどい状況だ」と改めて懸念を示した。これに先立ちサルマン国王と疑惑をめぐって電話協議し、ポンペオ氏にはサウジ訪問を指示した。当初は「カショギ氏は米国民ではない」「トルコで起きたことだ」などと突き放していたが、一転して事態の収拾に動き出した。
 背景には世界中にサウジへの反発が広がり、中東政策の要のサウジと同盟関係を維持するのが難しくなりかねないとの判断がある。(略)
 サウジとの関係悪化はイラン包囲網の乱れにつながる可能性もある。トランプ政権は11月5日に発動するイラン制裁に関連し、イラン産原油の禁輸を各国に求めている。一方、原油価格の高騰を避けるため、サウジには増産を求めている。対イランでの連携が難しくなれば制裁は原油高となって米国経済に跳ね返りかねない。
 アラブ首長国連邦UAE)やエジプト、ヨルダンなどアラブ諸国は、すでにカショギ氏の殺害疑惑をめぐってサウジ政府の立場を支持する考えを表明している。サウジとの関係が悪化すれば中東諸国が一斉にトランプ政権との政策協力に慎重になるリスクもある。
 ただ、トランプ氏はサウジ強硬論を唱える議会への目配りも必要で、今までどおりの同盟関係を維持できるとは限らない。上院外交委員会は10日、人権侵害を犯した人物に制裁を科す法律に基づいてトランプ氏に疑惑の捜査を要請した。トランプ政権は来年2月までに実際に制裁を科すかどうかの判断を迫られる。
 トランプ氏がこだわるサウジへの武器輸出も議会承認が必要だ。疑惑をめぐってはトランプ氏が率いる共和党からも「サウジ政府の関与が確認されれば、米・サウジ関係が崩壊する」(リンゼー・グラム上院議員)との声があがる。(略)」

米、サウジと同盟維持に腐心 記者殺害疑惑で (写真=AP) :日本経済新聞

 今回の記者殺害を、一過性の、偶然の事件として処理できれば、事件そのものは急速に風化することでしょう。リンゼイ・グラム共和党上院議員も重視していますが、むしろ民主党の出方が気になります。今回の中間選挙で殺人を犯したサウジとの同盟関係を民主党が取り上げれば、サウジとアメリカの関係は危機に瀕するでしょう。

 実際、民主党で上院外交委員会のクリス・マーフィー上院議員は、トランプ大統領の「ならず者による殺人」という発言に対して、「サウジのPRマン」と激しい批判を加えています。

 問題は、この批判がアメリカ全土で支持を受けるかどうかです。12兆円にも及ぶサウジへの武器輸出は、アメリカの武器産業にとっても外すことができない受注です。ですから、そこそこのところで、サウジへの批判も沈下すると思われます。