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サウジは平常運転

キングダム (字幕版)

 宰相としてのモハンメド・ビン・サルマンには期待していたのですが、今回の一件は残念な帰結に終わりそうです。ロシアは言うまでもなく、ミャンマーと言い、今回のサウジと言い、ジャーナリストに対する当局からの迫害は、逆にその国の政府に対する根強い批判を生み出すことになります。

 ですから、何を言われてもじっと我慢の安倍首相はえらいですね。

 「サウジアラビア皇太子に批判的な記事を執筆していたサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館を訪れた後に消息を絶った問題で、トルコと米国は11日、サウジ政府に改めて説明を要求し、圧力を一段と強めた。カショギ氏が総領事館内で「尋問」される様子を記録した音源と映像を、トルコ政府が所有しているとの報道もある。

 カショギ氏は今月2日、トルコ人女性との結婚を前に必要書類を受け取るためイスタンブールのサウジ総領事館を訪れた後、行方が分からなくなった。

 米国は同盟国のサウジと1100億ドル(約12兆円)相当の軍事関連契約を結んでおり、米議会はサウジへの武器売却の停止を求めてドナルド・トランプDonald Trump米大統領に決断を迫っている。ただ、トランプ氏はサウジに説明を求める姿勢を強めてはいるものの、議会の要求は拒否している。

 トルコ当局はカショギ氏について、殺害されたとの見方を示している。航空機2機に分乗してトルコに入国した15人の「暗殺団」がカショギ氏を殺害したとする報道もある。一方のサウジ政府は、カショギ氏は総領事館を何事もなく去ったと主張している。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領はサウジ政府に対し、この主張を裏付ける監視カメラの映像を提出するよう要求。「総領事館に監視カメラが存在しない、などということがあるだろうか」「ハエや蚊が1匹飛んでいる様子さえ、監視カメラには映る。何しろ、彼ら(サウジアラビア)には最新のシステムがあるのだから」とトルコ記者団に語った。

 総領事館側は、カショギ氏の訪問日には監視カメラが作動していなかったと主張し、カショギ氏が暗殺されたとの見方を「根拠がない」と非難した。

 しかし、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)はトルコ政府が米高官に伝えた情報として、カショギ氏が「総領事館内で尋問や拷問を受け、殺害された」様子を記録した音源と映像をトルコ政府が入手しており、遺体は殺害後に切断されたと報じた。

 カショギ氏は、ワシントン・ポストなど多数のメディアに寄稿し、サウジ政府のイエメン内戦介入やムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子の政策を批判していたジャーナリスト。サウジ政府の顧問を務めた経歴を持つが、逮捕される恐れがあるとして昨年9月にサウジを出国し、米首都ワシントン郊外に暮らしていた。」

サウジ記者失踪、「尋問」記録をトルコが入手か 説明要求の圧力強まる 写真14枚 国際ニュース:AFPBB News

 率直に言って、ムハンマド・ビン・サルマンには期待していたのですが本当に残念です。湾岸諸国は、暗殺化テロしかできないという評判がこれで定着してしまいます。サルマン皇太子がサウジの近代化を図ってくれたならば、石油に依存しない新たな国家が誕生するはずでした。

 現在の、サウジアラビアにとってはアメリカとの関係は決定的に重要であり、とりわけトランプ大統領との関係維持は致命的ともいえます。アメリカ製武器の売却契約があるので、すぐに関係が切られることはないでしょうが、トランプ大統領を窮地に追い込んでいるのは好ましい状況ではありません。

 来るべきイランとの軍事的対決において、サウジアラビアという拠点は必須です。しかし、そのグランドデッサンが今回のジャーナリスト殺害で大きく崩れそうです。