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迷走するドイツ憲法擁護庁長官問題

欧州各国に於ける国家革新運動:<リプリント版>内閣情報部・情報宣伝研究資料第十輯 (創元学術アルヒーフ)

 この件は以前に一度取り上げましたが、事態は混迷の度合いを増しています。

誰のせいでこうなったかは、明らかなのですが…。

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 「ドイツのメルケル連立政権内の対立に発展した情報機関トップの処遇問題をめぐり、連立与党間で一度合意した対応が再協議されることになった。更迭しながら昇格させるという妥協案に批判が一斉に上がり、再考を迫られた。連立維持に腐心し、迷走する姿は政権に対する国民の信頼低下を招いている。

 メルケル首相は21日、「改めて状況を評価する。それが正しく必要でもある」と述べ、連邦憲法擁護庁のマーセン長官の処遇について所管するゼーホーファー内相と連立相手の中道左派社会民主党のナーレス党首と協議する意向を表明。23日にも3者会談を行う方向で調整が続いている。

 長官をめぐっては、東部で起きた外国人襲撃の信憑性を疑問視する発言が問題化し、擁護する内相と交代を求める社民党の対立に発展。メルケル氏は18日、内相とナーレス氏と会談し、長官を交代させる一方、内務省の高官に昇進させることで合意した。

 だが、それぞれの顔を立てる苦肉の策には批判が噴出。特に社民党内の反発は強く、連立離脱を訴える声も高まった。ナーレス氏はこのため急遽、メルケル氏と内相に長官の処遇について再協議を要請。2人に宛てた書簡で「われわれは間違えていた」と訴えた。

 メディアによると、メルケル氏の保守系与党、キリスト教民主同盟でも多くの党員から不満が上がった。党幹部はこのため党員宛てメールで処遇への「疑問は理解できる」とする一方、「政権崩壊の危機」を回避するためと理解を求めた。

 世論調査によると、長官の処遇決定を受け、政権への信頼は「低下した」と7割以上が回答。公共放送ARDの21日発表の政党支持率では、内相率いる姉妹政党を含めたメルケル氏与党は28%で過去約20年で最低に下落。新興の右派政党、ドイツのための選択肢(AfD)は18%で社民党を抜いて初めて2位になった

 民主同盟の幹部は「政権は内輪の事情に大半の力を注いでいると国民からみられている」と懸念。メルケル氏は「政策遂行に集中することが必要」と訴えた。」

ドイツ情報機関トップの処遇再考 連立与党、昇格妥協案に批判噴出 メルケル政権迷走、国民の信頼低下(2/2ページ) - 産経ニュース

 通常では、不祥事を起こして、憲法擁護庁長官から、内務省副大臣に昇格するというのはあり得ない話です。しかし、そうしなければ、憲法擁護庁長官の罷免を求めた社会民主党の言い分立たたず、また、マーセン長官をそれなりに遇しなければゼーフォーファー内相を出しているキリスト教社会同盟CSU)が連立から離脱してしまいます。地方選挙で、バイエルンの地方政党であるCSUがドイツのための選択に敗北すれば、それで今回のメルケル政権は消滅することになります。あとは、メルケル首相がドイツの選択と連立を組むことしか自らの権力を延命させる手段がなくなります。

 メルケル首相が、無制限に移民をドイツに流入させた結末がこれです。長らく続いていたドイツの政治的安定も失われようとしています。