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北方領土問題は、進展するか

第三次世界大戦7 - 沖縄沖航空戦 (C★NOVELS)

 今回のプーチンの発言は、かなりきわどいものです。

  日本政府はいろいろとプーチンに譲歩していたようです。

「ロシアは第二次大戦末期に北方領土に侵攻して以来、入植と軍事基地の建設を通じて実効支配を強めている。安倍は日本の歴代首相と同じように領土問題の解決を目指す上で、プーチンとの個人的な関係を維持している自分なら、変化をもたらせるのではないかと考えている。

とはいえ、安倍の求愛にもプーチンはつれない。日本は近年、領土問題をめぐり新たな提案をしているが、ロシアが歩み寄る気配はない。

今のところ両国は、四島の共同経済活動など、領土問題よりはるかに容易な合意でお茶を濁している。9月の首脳会談では5月と同様に、共同経済活動に備えて民間調査団を派遣することが発表された。

 

しかし、より厄介な領土問題で合意できるかどうかとなると、両国の見解には依然として大きな隔たりがある。日本は依然として全島返還にこだわっているが、ロシアは一歩も譲る気配がない。その結果、返還交渉は膠着状態に陥り、第二次大戦後の正式な平和条約の締結は棚上げされたままになっている。プーチンは合意の可能性を完全には否定せず思わせぶりな態度を続け、双方が納得できる形での解決は可能だが時間がかかると主張している。

そのため日本の指導者たちは非公式にさまざまな提案と妥協案を提示してきた。とりわけよく議論されているのは、北方領土全面積の7%を占めるにすぎない色丹・歯舞の2島返還と残り2島の「共同統治」もしくは開発を軸とするものだ。しかし日本がある程度の柔軟性を示しているにもかかわらず、ロシアとしては相変わらず領有権の問題もこうしたアプローチも受け入れ難いようだ。

欧米との関係冷却化を背景に、ロシアは間違いなく日ロ関係の改善を望み、日本企業からの投資拡大を歓迎している。だがロシア国内の強固なナショナリズムを思えば、ロシアでいう「大祖国戦争」で獲得した領土を経済的な動機だけで引き渡すとは考えにくい。」

北方領土をめぐって交錯する日本とロシアの思惑 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 日本がロシアの協力を得なければならないとすれば、それは来たるべき第三次世界大戦でロシアにはせめて中立を守ってもらいたいためです。中国とアメリカの対立が、深まることはあれ、収まることはもうありません。現在の経済的対立がいつ何をきっかけにして軍事紛争に転化するかはわかりません。しかし、それも「いつ」の問題であって、「是非」の問題ではもはやないことは言うまでもありません。

 このまま10年間がたてば、米朝の軍事バランスは確実に逆転します。そうなる前に、アメリカは対応しなければなりません。今回のトランプ大統領の対中関税にしても、見たところは、気まぐれでやっているように見えるかもしれませんが、アメリカが中国に牙をむき始めたという冷徹な現実の一端でしかないのです。

  そこで、安倍晋三首相や中国の習近平国家主席らを前に突然、前提条件なしでの日ロ平和条約の年内締結しようと持ちかけたのは、「(日本が)ロシアに協力を求めることができるのは年内いっぱいだ」と解釈することもできます。つまり、この年限を過ぎれば、ロシアは中国と組むかもしれないと恫喝しているわけです。

 平和条約を結べば、北方領土はせいぜい2島返還のみで、択捉島国後島は永遠に戻ってこないでしょう。

 かといって、平和条約を結ばなければ、日本とアメリカは中ロを一度に相手にしなければならなくなるということです。ヨーロッパ、とりわけ英国との対立が深まっている中で、日米とロシアが対立するならば、必然的に、東欧でもロシアとの戦いの火ぶたが切られることも覚悟しておかなければなりません。なにより、ロシアの先端軍事技術が中国に移転されれば、十分な脅威になり得ます

 こう考えれば、今回のプーチン大統領の発言は、巧みな最後通牒と見なすこともできます。

 ですから、北方領土問題は、現段階では解決する可能性はきわめて低いといえます。もし北方四島が返還されるとすれば、それは中国との戦争に日本が勝利した後のことでしょう。