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友達の少ないトランプ大統領が逆ギレ

僕は友達が少ない 羽瀬川小鳩 (1/7スケール PVC塗装済み完成品)

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 友達が少ないトランプ大統領は、動きが読みやすいといえます。当初は、安倍首相を袖にはしないと考えていたのですが、考え方が変わりました。

  この数週間のトランプ大統領にとっての手痛い失敗は、マケイン上院議員死去に際する対応の誤りでした。上院議員が亡くなってからもなお、マケイン上院議員への批判的姿勢を崩さなかったトランプ大統領は、世論から大きく批判されることになります。

 いくら政治的に対立していたとはいえ、相手はベトナム戦争の英雄です。自分は兵役を拒否しているのに、どうやっても勝てない相手だったのです。にもかかわらず、マケイン議員の人格を損ねる発言を継続していたのはトランプ大統領にとって大きな失敗でした。

 ボブ・ウッドワード記者の暴露本も、ダメージと言えばダメージでしたが、これはある程度想定済みだったことでしょう。むしろ、NYTのOp-edの記事の方が被害甚大でした。トランプ政権の幹部が執筆したとされるこの「反論」は、ホワイトハウスの内部から反乱ののろしが上がったことを示しており、目下トランプ大統領は執筆者捜しにやっきになっています。つまりは、中間選挙前に、大きな危機のまっただ中にあるのです。それが、日本に対する通商交渉の強要となって現れています。有権者に対するアピールがほしいという一心なのです。

 トランプの具体的な戦略に関しては、元通産相米州課長の細川昌彦氏が丁寧に分析しています。

「 韓国に対して鉄鋼で、メキシコに対しては自動車で、米国は「高関税で脅し、数量規制をのませた」。これが米国の手法で、味を占めてしまった。しかし、世界の通商秩序の根幹を揺るがすもので、これを米国に許すと将来、巨大市場を有する中国も同様のことをしてくるかもしれない

 為替条項が盛り込まれていることも要注意だ。輸出を促進するために。競争的な通貨安誘導を控えることは、これまでも国際的に合意されてきた。これを一層強化した形で2国間協定に盛り込んでいる。米韓FTAの見直し合意でも、競争的な通貨切り下げを禁じたり、金融政策の透明性と説明責任をコミットする条項を、強制力のない「付帯協定」として盛り込んだ。

 本来、通商と為替は切り離し、金融政策に通商政策を立ち入らせない不文律がある。それが財務当局間の“暗黙の了解”だった。かつて米国議会が為替条項を通商協定に盛り込むよう圧力をかけても、行政府は一線を死守してきた。ところが、トランプ大統領は政権発足時から2国間協定を志向し、協定には為替条項を盛り込む方針を打ち出して各国の警戒を招いていた

 そして、その一歩が踏み出されたのが韓国だった。為替介入への事実上の牽制(けんせい)効果を狙ったもので、今回はメキシコがのまされた。メキシコは通貨政策は縛られないと説明するが、内容は不透明だ。

 今月には米国と欧州連合(EU)の貿易協議が予定されている。日本も米国との経済対話、首脳会談とヤマ場を迎える。米国はEU、日本に対しても同様の交渉手法で臨むだろう。自動車の高関税で脅しながら、自動車の数量規制と牛肉の関税引き下げを求め、併せて為替条項も要求してくるかもしれない。

 これにどう対応するかが問われる。数量規制については「実害のない数量が確保できればよい」といった安易な考えは、将来に禍根を残す。為替条項については「強制力がないので、影響はない」というのも甘い。80年代の日米交渉でもあったが、米国が徐々に圧力をかけて来るきっかけにもなる。アリの一穴と心得て、交渉に臨むべきだ。日本とEUは「毒まんじゅう」を阻止する戦いの胸突き八丁にさしかかっている。」

【日曜経済講座】NAFTAから透ける日米交渉 米の脅し「数量規制」「為替条項」 中部大特任教授 細川昌彦(3/5ページ) - 産経ニュース

 要領を得た明晰な分析といえます。問題は数量規制、それに為替にあるといえそうです。これだけを読めば、日本は絶対譲歩すべきではないという気にもなるのですが、今後、北朝鮮情勢、中国情勢が急速に悪化することが予想される中で、アメリカとの本格的な対立は回避したいというのが、日本政府の立場でしょう。

 これに対して強攻策としては、アメリカ国債の売却を行うというものがあります。おそらく、日本の対米カードとしてはこれ以上強いものはありません。しかし、日米安保条約の将来に悪影響を与えます。

 融和策としては、農産物、特に牛肉などである程度の譲歩をおこなうというものです。すでにTPPの時に、ある程度関税を引き下げることは規定されていたのですから、合理的な程度で対応することは可能でしょう。

 要は、トランプ大統領の体面と議会対策のためにある程度は譲歩する必要があるのですから、それをどこまで実行できるかが今回の交渉の要になります。どうこう言っても、メルケル首相よりは安倍首相の方が優遇されています。英国のメイ首相は、微妙な感じ。フランスのマクロン首相もトランプ大統領との関係は良好ですが、一緒にゴルフをするほどではありません。うまく関係が維持されることを希望します。

 一番良い方法は、「米国債売ります」と恫喝をかけた上で、「牛肉関税安くします」都市立てに出ることだと思うのですがいかがでしょうか。