9月からは風向きが変わる
もうすぐ8月も終わりです。イギリスではバンク・ホリデーもあるので、そのあとでようやく夏休みの終わりとなるのでしょう。そこで、焦点になるのが、今後のユーロの行方だと思うのです。
「イタリアのディマイオ副首相は24日、シチリア島で沿岸警備隊の船舶に勾留されている難民への対応を話し合う欧州連合(EU)レベルの会議で強硬路線をとる方針を示し、この問題を巡りEU拠出金の支払い停止もあり得ると改めて警告した。
ディマイオ副首相は国内テレビに対し「ソフト路線は効かない。強硬路線とは、われわれの意見が通らない場合に資金拠出を保留することになる」と述べた。
24日にブリュッセルで開催される会合には、イタリアのほか、マルタ、ギリシャ、スペイン、ドイツ、フランス、オーストリアが出席に、難民の受け入れ方法などを協議する。
ディマイオ副首相は23日に、EU加盟国がシチリア島の難民を受け入れなければ、自身が党首を務める「五つ星運動」が来年のEU拠出金の支出停止に賛成するとの考えを示していた。」
伊副首相、難民問題で「強硬路線」 加盟国の協議前に | ロイター
現在ユーロが値を戻していますが、政治的に見れば、危なそうに見えて安定しているアメリカに対して、安定しているように見えて、危機の芽が花開きそうなヨーロッパの方がはるかに多くの不確定要因を抱えていると言えます。
一番大きいのは、メルケルの移民導入政策の失敗が、もはやだれの目にも否定できないほど明白になったことです。メルケルですら、不法移民を国外に追放すると息巻いているのですから、難民であれば誰でも歓迎としていたシリア危機直後の発言とは全くあべこべになってしまっています。
カリーニングラードには核装備可能な弾道ミサイルが設置され、東欧諸国は恐怖におののいています。その背後で、メルケル首相がプーチンと会談し、「ノルドストリーム2」ガスパイプライン・プロジェクトの推進でも合意しています。これでは、東欧諸国や北欧諸国は裏切られたと感じても不思議ではありません。
こうした状態でイタリアやオーストリア、それにフランスのルペン国民戦線党首が発言権を高めれば、ユーロはおろか、EUの存続すら危うくなるでしょう。
そうしたジェットコースターが始まるのが、恐らく9月なのだと思います。