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李克強の復権

漫画で読む李克強総理の仕事

 漫画で仕事が紹介されているとは知りませんでした。

 日経からです。

「8月8日の夜遅く、国営通信の新華社は、首相の李克強が同日午後、北戴河で、国連総会で議長を務めるエクアドルの外相、エスピノサと会談したと伝えた。(中略)

 関係者を驚かせたのは最近、存在感を示せなかった李克強が、そのしきたり(北載河会議の間に外交はしない)を破った点だ。一方、習近平の方は最後まで北戴河での動静は伝えられなかった。しかも、李克強が発したメッセージは、世界貿易機関WTO)が主導する自由貿易体制の重要さ、そして多国間主義だった。

 中国の首脳級人物が公の席でここまで繰り返し「自由貿易体制」を訴えた例はない。かつての主張は、あくまで自国ではなく他国の保護主義への反対に重点があった。輸出超大国になった中国の利益を損なうからである。

 中国共産党の現体制は、輸出で稼ぎ出した巨額の外貨と、公有制をうたう土地と、不動産の開発・販売収入などを元手に運営されている。それは中国内での莫大なインフラ投資、海外で中国主導の経済圏を形づくる新シルクロード経済圏構想「一帯一路」も同じだ。社会主義を標榜する共産党を外国からの資金と土地関連の収入が支える構造は興味深い。

 半面、中国では欧米が主導する「自由貿易体制」という概念は、西側の自由主義思想とリンクしていると考えられてきた。油断していると「自由貿易体制の推進」という名目で共産党一党独裁体制を崩す「和平演変」の陰謀にしてやられる。そんな警戒の対象だったのである。

  異例だった李克強の北戴河公式登場は、抜き差しならない米中貿易戦争で苦しむ中国指導部が、米大統領、トランプへの対処を額を寄せ合って考えていた様子をうかがわせる。8月8日は、鳩首(きゅうしゅ)会談の真っ最中だったのだ。

 それだけに、ひとまず「強国路線」一辺倒だった習近平ではなく、李克強を表に立てた。それは、暗礁に乗り上げていた対米交渉の再開にトランプを誘い込む秋波でもあった。かつての最高指導者、鄧小平以来、続いてきた爪を隠して力を蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」と呼ばれる対外政策を捨ててはいないという暗示でもある。果たして対米交渉はレベルこそ低いとはいえ再開する。」

北戴河で「習独走」にひとまず歯止め 闘いは秋の陣へ :日本経済新聞

 何とかアメリカのご機嫌を損ねないように、方向転換を図っているという話ですが、既に時遅しという印象があります。

 まず、人民解放軍の米軍に対する挑発行動が、ペンタゴンでも本格的に憂慮されていることがあります。ジブチで米軍機にレーザーを照射するといったのは序の口の筈です。本格的に米軍と戦う準備をしていることが、アメリカにも暴露されてしまった以上、お互いに引くに引けない立場に追い込まれます。通商で若干の譲歩が見られたとしても、本格的な構図は変わらない、いや、むしろ悪化していくことになります。

 結局、中間選挙なので、中国で利益を得る農民などは、対中関係が修復されなければ困ります。今後3ヵ月程度は一時休戦となるのではないでしょうか。

 NAFTAに関しても同様です。後で前言を覆すトルドー首相はトランプ大統領からも嫌われていますが、メキシコとの関係は、このところ落ち着いているように見えます。再交渉が終了するのを、中間選挙に合わせるというのが、トランプ大統領の目論見と考えられます。泣いても笑っても後3ヵ月です。中間選挙が終われば、またアメリカは動き始めるでしょう。