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米中の「コンドミニアム」

日本占領と「敗戦革命」の危機 (PHP新書)

 たまには本の紹介でも。江崎道朗さんの「日本占領と『敗戦革命』の危機」ですが、なかなか面白いです。内容は、第二次大戦終結直後、日本には共産主義革命が起きていたかもしれなかったという内容なのですが、これが事実とすれば、たとえ日米戦でアメリカに勝利していたとしても、その後の共産主義革命で皇室という制度はなくなっていたのだなあという印象を持ちました。

  それでも、最も面白かったのが実はあとがきの部分でして(笑)、これを紹介しておきましょう。

尖閣中国漁船衝突事件の翌年の2011年、米軍の元将校と東京・赤坂のあるホテルでランチをとっていたときのことだ。

 「あなたはコンドミニアムをしっているか」と尋ねられた。「知らない」と答えたら、こういわれたのだ。

 「昨年、尖閣諸島沖で中国漁船の衝突事件が起こり、日本政府(当時は菅直人民主党政権だった)は、中国政府の抗議に屈して、その漁船の中国人船長をすぐに釈放してしまっただろう。あれを見て、われわれ米軍はあきれ果てた。自国の領土を守るつもりがないのなら、われわれも日本を助ける義務はない

 実はアメリ国務省と中国側の秘密交渉において、あくまでも一部の動きだが、中国による尖閣諸島攻撃を止める代わりに、日本を米中両国で経済的に搾取しようという案が出ていることを聞いた。具体的には、日本のメガバンクの株を中国の政府系ファンドが購入し、銀行を通じて日本の企業を支配しようというものだ。これをコンドミニアムと呼んでいるようだ」

 「ふざけるな、アメリカは日本の同盟国ではないのか」と反論すると、こういう言葉が返ってきた。

 「われわれ米軍は、日米安保条約に基づいて日本の自由と平和を守ろうと思っているが、それは日本自身が自らの自由と平和を守るつもりがあることが前提だ。中国から尖閣諸島を守るつもりがないのに、なぜ、われわれだけが日本のために努力しなければならないのか

 それに、コンドミニアムの話は国務省、それも一部の人たちの話であって、米軍の大多数は反対だ。ただ、国務省の中には中国との関係を重視する奴もいて当然だし、コンドミニアムという議論もあっておかしくない。そういうことを想定しない日本の方が異常なのだ。

 日本では小学校から英語を学ぶそうだが、このままだと、いずれ中国語を小学校で学ぶことになるだろうね」

 このときのやりとりは本当によく覚えている」

 このアメリカ人退役将校の人の話には全く反論ができませんね。率直に言って、2009年に中国側から軍事作戦を仕掛けられていれば、日本は危なかったと思います。2011年の段階でも、春先に(笑)人民解放軍の作戦が計画されていたといいます。あの大震災がなければ、日中で戦争が生じていたかもしれないのです。いまだに憲法改正もできない自民党には、かなりがっかりですが、それ以前に、緊迫する国際情勢を無視して、改憲に反対する人が多いのはあらためて驚かされます。もう中国語を勉強するのは、いやですよ。