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トルコ・リラまだホールドしているの?マゾなの?BBVA編

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 これは、マダム・ワタナベのことではなく、ヨーロッパの金融機関の話です。今回の危機で倒産する銀行はどこなのでしょうか。その謎に迫ります。

 今回はロイターの記事からスペインのBBVAを取り上げます。今回のリラ暴落にあたって、ヨーロッパ金融機関の危険な状況がよくわかります。

「 「スペインのBBVAは、トルコに対する最大の貸し手であり、税引き前利益の3分の1をトルコから引き出してきた。しかし、トルコの通貨リラは暴落し、インフレ率は二けたに達している」と、ABN AMROアナリストは月曜日に述べた。
 6月の総選挙に続いて、高金利の敵を自称するタイイップ・エルドアン大統領は、財務相のポストに彼の義理の弟ベラット・アルバラックを任命した。
 エルドアンが金融政策に大きな影響力を行使しようとするのではないかという懸念が、外国人投資家を出口に追いやった。 今年はトルコのリラは記録的に下落し、借り入れコストは急上昇している。

 ABNアムロのストラテジスト、トム・キンモン氏は、国際金融機関のトルコへのエクスポージャーは約2,250億ドルと見積もっているが、「BBVAインパクトの最前線に位置している」と述べた。
 「(BBVA)は、トルコから長年にわたり強い収益を上げており、エクスポージャーを拡大、トルコガランティ銀行の株式を買い増ししたほどだった」とキンモン氏は述べている。実際、BBVAは2017年税引前利益の31%をトルコから得ているほどなのだ。

 「どのような措置がとられようと、BBVAのトルコへのエクスポージャーは多額である」と同氏は付け加えた。
 2017年2月、BBVAはトルコのGaranti Bankの株式を50%弱にまで買い増した。
 BBVAの第1四半期の財務報告によると、トルコは、メキシコ、スペイン、南米に次いで、米国よりもわずかに先行して4番目に大きい市場である。BBVAは、トルコでは当初3カ月間に201百万ユーロ(2億2350万ドル)の純利益を計上したのに対し、米国では1億9500万ユーロであった。
 キンモン氏によると、トルコに対する脆弱性に関しては、BBVAに続くのはイタリアのUnicreditである。その一方で、オランダの金融機関ING、欧州最大のHSBC銀行フランスのBNPもやり玉に挙がっている。

 「トルコは近年、多くの外国銀行にとって高収益であり、貸し出しも増大し、利率にも高いマージンがあった」とABN AMROは語っている。そして、BBVAトルコのへの貸出金利は、スペイン国内の1.18%に対して、トルコでは4.19%の純利息マージンを獲得したと見積もっている。
 しかし、今年は経済が過熱しており、リラの22%下落によって、外貨建てのローンを設定した企業や銀行への圧力が強まっている。

 格付け機関はトルコの金融セクターの危険性に警鐘を鳴らし続けてきた。先週末、格付け機関のフィッチは、トルコの国債格付けをジャンク債にまで引き下げ、銀行業の業績に打撃になることを警告していた。
 また、フィッチの競合機関であるムーディーズの予測によれば、トルコ銀行の不良債権は、5月の2.9%から、今後12-18ヵ月間に4%以上増加すると見積もっている。
 しかし、ABNアムロの報告書によると、トルコはほとんどのグローバルな金融機関に問題を引き起こすとは考えにくい。そして、報告書は「前述の5つの銀行のエクスポージャーが除外されると、他の欧州銀行への影響は最小限に抑えられる」と付け加えている。」

Spain's BBVA tops list of foreign banks exposed to Turkey -ABN AMRO | Reuters

 個人の投機ならばともかく、BBAVは全社を挙げてトルコを買いまくっていたことがわかります。確かに融資も増えて、利率も高いということになれば、他に手段はなかったのでしょう。

 しかし、アメリカとトルコの政治状況は、クーデターのあたりから、確実に悪化していたのですから、せめてその時期に足を洗っていれば今回の被害には遭わなかったはずなのです。金融機関も国際政治状況の分析が必要ということなのでしょう。

 この記事では、リラ暴落の影響が軽微に扱われていますが、第二の貸し手としてイタリアのウニクレディットが挙げられているのですから、「軽微」な被害で済むということはなさそうです。

 来週は、月曜日から、スペイン国債の下落となるのではないでしょうか。