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そして(ホワイトハウスから)誰もいなくなる

僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)

 率直に言って、トランプ大統領の賞味期限は切れたと感じています。インドネシアの例のあれ、とかイヴァンカのあれとかが表面化したときから、トランプ大統領の対中姿勢は微妙に変化しています。その最大の帰結が米朝交渉でした。

 米朝交渉の目的が、朝鮮半島からのアメリカの戦略的撤退にあったとするならば、満額回答といえないこともありません。しかし、それは同盟国日本の犠牲の上で、です。実際、米朝交渉のために、拉致被害者の帰国がこれまでになく困難になってしまいましたトランプ大統領が安倍首相のことを盟友と考えているのであれば、出来ない仕打ちです。
 例えば、北朝鮮と交渉するにしても、核廃棄終了後といわれたらどうするのでしょう。核廃棄にかかる費用は、日韓持ちとトランプ大統領は宣言してしまっています。膨大な核廃棄の費用を請求されて、被害者が小出しに帰されることになれば、考えられる限り好ましくない事態であると言えるでしょう。
 貿易交渉も同様です。遂にカナダが報復関税の採用を決定しました。鉄鋼やアルミ、食品など166億カナダドル(約1兆4千億円)相当の製品を対象とするものです。カナダは米国にとって鉄鋼、アルミとも最大の輸入相手国です。そのため、米関税の影響を最も大きく受けるため、報復措置も最大となるのです。
 その結果、アメリカ経済にも反作用が及ぶことは火を見るより明らかでしょう。中間選挙での勝利が目的ですから、その直前にNAFTA電撃合意などはやってくれそうですが、トランプ大統領の最大の罪はアメリカの信用を失墜させたということでしょう。
 そのことに、不満を抱く政府職員も増加するはずです。

  「エストニア駐在米大使は、欧州連合EU)に関する欧州議会議長のコメントや長年の欧州同盟国の扱いに対する彼の不満から辞任した。
 フォーリン・ポリシー誌が最初に報道したところによると、ジェームズ・メルヴィル(James Melville)大使は、個人のFacebookの投稿で、EUが米国を利用しているという最近のトランプ大統領の非難のコメントにより、最終的には彼は辞任を迫られたとうち明けている。
「大統領がEUが「米国を利用して、私たちの貯金箱を攻撃するために設立された」、あるいは「NATONAFTAと同じぐらい悪い」と言うのは、事実上間違っているだけでなく、私にとっては、「もうやめ時」であることを明らかにした」と大使は述べている。
 「私は何年もの間、誠実に国を奉仕することができたことに喜んで感謝し、いつも偉大であり続けてきたアメリカが、いつか正しい方向性に戻ってくれるだろうという確信を持って、私は辞任する」とメルヴィル大使は付け加えている。
 メルヴィルは2015年以来エストニア大使を務め、30年以上にわたり様々な外交的役割を果たしているシニア米国外交官である。政府高官は、外交政策に対し、メルヴィルの辞任は当局に大きな打撃を与えており、外交サークルにおけるトランプの政策への大きな抵抗を示しているとフォーリン・ポリシー誌に語っている。
 匿名の当局者は、「外交に全力を傾けてきた人間が、「これ以上のことはできない」と言っているのであれば、このことは重大なことを意味している」「次は誰になるのだろうか」
 メルヴィルの辞任の数日前には、トランプはフランスにEUから離脱するように求めたと報道されている。マクロンEUの通商同盟から離脱すれば、アメリカは2カ国交渉を行っても良いと示唆したのだ。
 トランプ政権は、カナダ、メキシコだけでなく、ヨーロッパの同盟国を激怒させている。今年初めには、鉄鋼・アルミへの関税を導入し、数カ国からは対抗措置を執られている。」

US ambassador to Estonia resigns over frustration with Trump | TheHill

 他にも政権からの離脱が噂されているのがケリー首席補佐官です。イヴァンカの補佐官は既に辞任しました。次に政権から離脱するのは誰でしょうか。ムニューシン財務長官が辞任すれば、本格的に政権崩壊につながると考えられます。