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マイケル・グリーン、トランプの対朝鮮外交を批判する

日中もし戦わば (文春新書)

 何度でも繰り返しておきたいのですが、今回の米朝会談は、アメリカの北朝鮮政策としては大失敗でした。そして、トランプ外交に乗っていた安倍首相にとっても、大きな打撃となりました。「成功した」といっているのは日本の評論家だけでしょう。マイケル・グリーンは代表的なジャパン・ハンドですね。今は昔、ジョージ・W・ブッシュ政権のアメリカNSCの高官でした。

  そのグリーンも、今回の北朝鮮との合意を失敗とみなしています。

「「トランプ大統領が韓米連合訓練を一方的に中断すると発表し、在韓米軍の撤収も望むと述べた。同盟国にこのようにするのは正しいやり方ではない」。マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長の指摘だ。

 ボイス・オブ・アメリカ(VOA)放送は15日(現地時間)、こうした内容のグリーン氏へのインタビューを放送した。グリーン氏はホワイトハウス国家安保会議(NSC)アジア担当補佐官を務めた韓半島朝鮮半島)専門家。

 グリーン氏は「(6・12米朝首脳会談の)共同声明の内容はあまりにも弱い。非核化の過程について比較的詳しく合意したクリントン政権ブッシュ政権ジュネーブ核合意、9・19共同声明にはるか及ばない」と評価した。また「北朝鮮の非核化の可能性は懐疑的であり、北朝鮮政権も米国の体制保証を絶対に信頼しない」と話した。

 在韓米軍問題については「在韓米軍が撤収して韓米同盟が終われば、中国にどう対応するのだろうか。日本と北朝鮮にはどうするのか。韓国人が自ら問うべき」と述べ、在韓米軍の重要性を強調した。一部で提起されている韓半島での戦争リスクが大幅に減ったという主張に対しては「北朝鮮核兵器や生物・化学兵器を使用する場合、数百万人が犠牲になるため戦争を防ぐことが最優先」と前提にしながらも「北朝鮮体制を保証するからといって戦争を防ぐことはできない」と述べた。

 その理由として「北朝鮮政権は今まで米国と合意したことをすべて否定した。北朝鮮は米国の体制保証を信頼しない。体制保証要求は同盟の軍事力を弱めるためのものだ」と説明した。

 また「トランプ大統領は韓国に対韓安保公約を履行する積極的な意志がない」とし「青瓦台(チョンワデ、大統領府)は米国防総省と議会、シンクタンクなどと協力し、同盟強化に力を注ぐべき」と助言した。

 グリーン氏は米朝首脳会談をきっかけに金委員長の立場が良くなったという分析もした。グリーン氏は「トランプ大統領が金委員長が望む特権を無償であまりにも多く与えた。中国の習近平国家主席に2回も会い、プーチン露大統領も会うことにした」とし「金委員長は内部的にこれらすべてが北朝鮮核兵器保有したためだと宣伝している」と述べた。」

韓半島専門家「韓国人、在韓米軍なく朝・中・日にどう対応するのか疑問」 | Joongang Ilbo | 中央日報

 「トランプ大統領は韓国に対韓安保公約を履行する積極的な意志がない」ということは、韓国の安全保障からはアメリカは手を引くということです。

 トランプ大統領にとって、同盟などどうでもよいのです。カタールアメリカの同盟国であったはずですが、昔の怨恨からか、周辺諸国との断交にまで追い込みました。今回は、韓国です。

 アメリカが日本を見捨てるのは現段階では考えにくいですが、トランプに限らず、捨てられるときはドライに見殺しにされるでしょう。日本も、アメリカの庇護にばかり頼るのではなく、自分で自分の国土と国民を守る努力が必要になっているといえます。