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プーチン大統領とモディ首相の非公式会談

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 2014年に冬季オリンピックが開催されたソチは、プーチン大統領にとってはお気に入りの外交舞台のようです。

 「ナレンドラ・モディ首相とウラジミール・プーチン大統領は、2018年5月21日にロシア連邦のソチ市で初めての非公式サミットを開催した。サミットは両国首脳が友好を深め、国際問題や地域問題に関する意見交換を行う機会を与えた。両首脳は、インドとロシアの間の特別および特権的戦略的パートナーシップが世界の平和と安定にとって重要な要素であることに同意した。彼らは、インドとロシアが、公平で平等な世界秩序に貢献するために重要な役割を担っているという見解を共有した。この点で、彼らは世界の平和と安定を維持する共通の責任を持つ主要な権力として互いの役割を認識した。両首脳は、主要な国際問題について深く議論した。彼らは、多極世界秩序を構築することの重要性に合意した。彼らは、インド洋太平洋地域を含む互いに協議と調整を強化することを決めた。 Modi首相とプーチン大統領はまた、国連、上海協力機構(SCO)、BRICS、G-20などの多国間機関を通じて協力を継続することで合意した。双方の指導者は、テロとラジカル化に対する懸念と、テロリズムのあらゆる形や兆候に対抗する彼らの決意を表明した。この文脈で、彼らは、テロの脅威から解放された雰囲気の中で、アフガニスタンの平和と安定を回復することの重要性を支持し、この目的達成に向けて協力することに同意した。

 両首脳は、国家開発計画と優先事項について意見交換を行った。彼らは、インドとロシアの関係を特徴づける深い信頼と相互尊重と親善に対する満足を表明した。両首脳は、2017年6月のサンクトペテルブルクでの最後の二国間サミット以来の積極的な勢いで満足感を表明しているが、今年後半にインドで開催されるサミットの具体的な成果を準備するように両国関係者に指示した。両首脳は、戦略経済対話インドのシンクタンクNITI Aayogとロシア連邦経済開発省との間で、貿易と投資の相乗効果を確認した。彼らは、エネルギー分野における協力の拡大を満足し、次の月にGazpromとGAILとの間の長期契約に基づき、LNGの最初の受託の到着を歓迎した。両首脳はまた、軍事、安全保障、原子力分野における長年のパートナーシップの重要性を再確認し、これらの分野における継続的な協力を歓迎した。両首脳は、両首脳間の年次首脳会談のほかに、非公式首脳会議をリーダーシップ・レベルでの追加的参戦として開催するという考えを歓迎した。首相はプーチン大統領を今年後半に第19回インド首脳会議に招待した。」

Informal Summit between India and Russia

 プーチン大統領とモディ首相の語らなかったことにむしろ興味が引かれます。公式発表では、中国に関する記述は見られませんが、これは話されたはずですから除外しても良いでしょう。

 この古式発表にも挙げられなかった、語られなかった事項とは、ロシアからインドへの武器輸出です。冷戦期からインドはロシア製武器の良い顧客でした。しかし、ここにきて、インドは自国での軍事産業に乗り出していますので、論題にならなかったとみられます。

 しかし、その一方で、経済開発における協力に関しては、LNGの輸出が始まっていることからもわかる通り、相当突っ込んだ議論が行われたと考えられます。

 ロシアにしてみれば、クリミア侵攻以来、西ヨーロッパ諸国、それにアメリカとは、数度にわたる経済制裁により、関係が冷え込んでいます。ですから、今回のモディ首相のソチ訪問は、プーチンにとっては有益なものであったはずです。

 モディ首相にしても、ロシアに中国との接近を図られれば困るわけで、くぎを刺すという意味もあったのでしょう。

 皮肉なのは、中国共産党の外交の司令塔と目される王岐山がこれからロシアを訪問することです。モディ首相の外交攻勢に比べれば、中国外交は実に見劣りします。崩壊する国家の外交とはこのようなものなのでしょう。