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北朝鮮内部に鬱積する不満

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 北朝鮮の突然の態度変更はやはり体制内部の不満の高まりが原因だったようです。

 中央日報からです。

北朝鮮が16日、米朝会談の再考に言及しながら前面に出した人物が金桂冠(キム・ケグァン)第1外務次官という点は意味深長だ。金桂冠第1外務次官は、金正恩キム・ジョンウン)国務委員長が核心外交ラインの李洙ヨン(イ・スヨン労働党副委員長と李容浩(イ・ヨンホ)外相を前に出さずに強力な対米警告メッセージを送ることができる適任者といえる。

 金桂冠第1外務次官は米朝核交渉歴史の生き証人だ。金正日キム・ジョンイル)総書記時代の2004-08年に6カ国協議首席代表を務め、当時の姜錫柱(カン・ソクジュ)第1外務次官と共に北核交渉の核心ブレーンの役割をした。2008年に平壌ピョンヤン)を訪問したクリストファー・ヒル米国務次官補に「米国は交渉に真摯でない。取引は終わった」と宣言した人物も金桂冠第1外務次官だった。

 ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が国連米国大使を務めた2005-06年、マカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)制裁で金正日総書記の統治資金を凍結した際、金桂冠第1外務次官は「非常に厳しい」と不満を吐露した。ボルトン補佐官が「先に非核化、後に見返り」のリビアモデルに言及する状況で、ボルトン補佐官の過去のライバルだった金桂冠第1外務次官を動員して対抗したのだ。金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一研究院長は「金桂冠第1外務次官を通じて北朝鮮が米国に『我々は現状況を厳重に見ている』というメッセージを伝えた」と解釈した。ボルトン補佐官ではなく最近2回訪朝したポンペオ国務長官を中心に対米関係を進めていくという意図もある。金桂冠第1外務次官が国務省のカウンターパートである外務省所属という点でだ。

 この日の談話が金桂冠第1外務次官の個人名義という点も重要だ。金桂冠第1外務次官は2010年に姜錫柱第1外務次官の後任として昇進したが、翌年の金正恩委員長の執権後に一線から一歩退いた。75歳の金桂冠第1外務次官の健康が良くないという話もある。北朝鮮が突然「金桂冠カード」を取り出して「私」という主語を使う談話を出したのは、この談話が金正恩委員長の裁可を受けた北朝鮮の公式立場ではないという点を表そうということだ。したがって北朝鮮はまだ米朝交渉の局面をつぶそうというのではないという見方が出ている。高有煥(コ・ユファン)東国大北朝鮮学科教授は「正式に局面をつぶそうとするのなら政府など公式機関の声明や談話形式を取ったはず」とし「対米交渉力を高めながら米国の強硬な立場に対する北の内部の不満を和らげるための装置という意味もある」と説明した。」

北、異例の個人名義談話…「交渉破棄でなく内部不満への対応」 | Joongang Ilbo | 中央日報

 結局、発言者である金桂冠第1外務次官のプロファイルから、北朝鮮はアメリカとの首脳対談をあきらめていないというのがこの記事の主張です。

 金正恩自身は、IAEAの核査察も受け入れ、ウラン濃縮のための秘密工場の所在地も明らかにする予定だったのですから、国内からの反発で足踏みを続けているというのが正解のようです。

 しかし、国内で反発が大きいということは、それだけ金正恩個人の安全が保ちにくいということでもあります。体制の維持と金正恩自らの生命の安全を狙った今回の交渉ですが、金正恩個人にとっては厳しい結果になりそうですね。