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中国、貿易戦争に完敗

興亡の世界史 通商国家カルタゴ (講談社学術文庫)

 先日アメリカの使節団が中国を訪問し、貿易問題に関して中国当局と交渉しましたが、現在のところ、中国が完敗のようです。

 ブルームバーグからです。

「中国を訪れた米トランプ政権の閣僚や高官は通商協議で大きな成果のないまま4日に北京を去ったが、中国側はその後、米国に対する姿勢を幾分軟化させた。

  中国国営メディアは週末、米中通商協議をやや前向きに評価し、交渉継続を呼び掛けた。米国が「合理的かつ現実的」になるべきだとの主張も展開した。

 また、中国商務省が一部の食料品や医薬品、医療機器の輸入関税について、一段の引き下げ措置を検討していると、経済参考報が7日に報じた。

 UBSグループの中国担当チーフエコノミスト、汪涛氏はリポートで「向こう数カ月の継続交渉中に、中国が発表済みの開放・改革を加速させる一方で米国側が関税措置の現行案を縮小する」と予想し、関税引き上げによる影響は限定的との見方を示した。」

中国が姿勢を軟化、一部関税引き下げも示唆-成果なき米中通商協議後 - Bloomberg

 中国に対してはアメリカは相当厳しく対応していることが、この記事からも伺うことができます。

 一路一帯で資金が湯水のように消えていく中で、アメリカとの通商戦争は最も避けたいパターンな筈です。しかし、表には出ませんが、アメリカの要求は非常に厳しいものになっています。

 最近では、米政府による制裁で経営の先行きが危ぶまれている中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が、中国国内のインターネット上でスマートフォンの販売を一部停止しています。グーグルのOSも仕えなくなっているようで、事実上ZTEはおしまいでしょう。

 それだけではありません。米軍にはZTEやファーウェイ社の携帯などの購入が禁じられました。

 台湾の件でもそうです。中国民用航空局(Chinese Civil Aviation Administration)から米国を含む外国の民間航空会社36社に宛てて、中国政府の基準に準拠した地名表記を求める通知書が送付された事件に対して、ホワイトハウスは、中国政府が台湾や香港(Hong Kong)やマカオ(Macau)を中国の領土として表記するよう米国の航空会社に強要しているとして、強い言葉で抗議しています。

 恐らくトランプ大統領は、北朝鮮問題がほぼ片付きつつある現在、通商問題に関して中国に妥協することはまったくないでしょう。寧ろ中間選挙に向けた派手なパフォーマンスが激しくなるはずです。

 特に、台湾に関しては、中国による台湾領有をトランプ大統領は絶対に認めないでしょう。むしろ、台湾の独立をアメリカが認めることがきっかけとなり、米中の軍事衝突が発生するというシナリオも考えられます。台湾はあらゆる意味でトリガーなので、南シナ海と台湾の問題がおかしくなれば、すぐに軍事対決モードに突入することになるでしょう。とはいえ、そうなるのはもう数年先の話になりそうですが。

 通商問題に話を戻せば、後しばらくは、アメリカの強い要求に中国は右往左往するしかないでしょう。その意味では、第三期習近平政権は可能性がかなり低くなったと見ることもできます。