FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

安部首相中東訪問の意義

社長外遊記<正・続編> [DVD]

 残念ながら、今回の安倍首相の中東訪問の意義が十分に報道されていないようです。

  今回安部首相が訪問したのは、アラブ首長国連邦、ヨルダン、パレスチナ、それにイスラエルです。

 アラブ首長国連邦への訪問で、議論されたなかで、日本にとって重要なのはテロ対策です。イスラム過激派の動向のチェックと同時に、マネーロンダリング,薬物・麻薬密輸,人身売買含む越境組織犯罪対策が焦点になりました。ただ、教育・文化面での支援も大きく、イランに対抗するスンニ派連合への支援といった色彩があります。

 ヨルダンに関しては、表向きは、「北部シリア難民受入地域廃棄物処理機材整備計画」が中心的な話題です。基本的には、日本からの資金援助が議題の中心をしめているのですが、実際にはそれにとどまらないのがヨルダンという国の面白いところです。実際、ヨルダン国王も、日本がテロや拉致の被害者になった場合、支援する旨を発表しています。

 パレスチナに関しては、「平和と繁栄の回廊」創設構想に基づく、農産業団地が中心的な課題になりました。農産業団地の製品を中東諸国に輸出することで、パレスチナの経済的自立を目指すという大胆な、そして10年という長期にわたる計画なのですが、日本が支援することで、パレスチナイスラエルの対立がいくらかでも和らぐことが期待されています。

 現在、トランプ大統領は、明確にイスラエル寄りの政策を打ち出しており、国家としてパレスチナを支援するのが困難になっています。そこに、安倍首相が訪問して、パレスチナに支援の手を差し出し、北朝鮮での借りを返すという構図があるのです。また、アッバス議長に対して、「日本の立場を支持する,拉致問題の解決に向けて協力していきたい」という発言も引き出しています。

 イスラエルでは、サイバー能力での強力、経済交流に重点が置かれています。しかし、その一方で、ネタニヤフ首相から、北朝鮮問題に関して全面的な支持を得ています。

 こうしてみれば、今回の安倍首相の中東訪問も、米朝首脳会談にむけた準備であったと言えるでしょう。今回の米朝首脳会談では、ある程度の成果が生まれるはずです。そのために、日本も中東で汗をかくという構図があるのです。