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風前の灯のイラン核合意

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 トランプ政権が、北朝鮮の合意を急いだのは、北朝鮮で開戦した場合、膨大な人命が失われることになるためでしたが、それよりも大きな理由としては、中東でイランと対峙するという目的があったためでした。

 北朝鮮にしても、イランのミサイル・核開発に協力してきたという経緯があります。すべては、イランをつぶすためなのです。

 日経新聞からです。

「ポンペオ米国務長官は29日、初めての中東訪問でイラン核合意を批判した。ポンペオ氏はテルアビブでイスラエルのネタニヤフ首相と会談。共同記者会見で「イランがイスラエルや中東に対する脅威を強めることを深く懸念している」と語り、「イラン核合意はとても欠陥がある」と懸念を表明した。

 ポンペオ氏は「トランプ米大統領は核合意が修正されなければ合意から離脱するだろう」とも指摘。来月14日に米国がイスラエルの米国大使館をエルサレムに移転することに関しても「大変誇りに思う」と述べ、協調関係をアピールした。ネタニヤフ氏は「イランが核兵器を取得しようとする試みは世界にとって最大の脅威だ」と強調した。

 ポンペオ氏は同日、サウジアラビアの首都リヤドでジュベイル外相とも会談し「イランは世界最大のテロ支援国家だ」と批判。「イランが決して核兵器保有しないことを確実にする」と述べたうえで「イラン核合意はイランの政権の行いを穏健にできなかった」と批判した。ポンペオ氏はサウジアラビアのサルマン国王とも会談した。」

米国務長官、イラン核合意を批判 初の中東訪問で (写真=AP) :日本経済新聞

 イラン核合意の重大な欠陥というのは、核開発を遅らせるだけで、ミサイル開発に関してはノーチェックである点を指します。このままでは、いずれイランは核を持つことになるという事実がトランプ大統領が許せないことなのでしょう。

 今回のトランプ政権は、歴代のアメリカの政権の中でもとりわけイスラエルとの関係が深い政権です。イスラエルを背後から支援し、イランと対決するというのが今後のスケジュールです。

 迎え撃つイランは、アフマディネジャド元大統領が、現行の政権を批判するなど決して安定しているわけではありません。レバノンとの通路であるシリアは確保したとしても、経済制裁が続く中で、じりじりと追い込まれることになります。

 その意味では、周辺諸国、特にロシアの出方が最後の決め手となることでしょう。ロシアが、イランをバックアップすれば、中東での米ロの代理戦争になります。ですから、まわりまわって、最終的にはプーチンとトランプの間の関係が今後の中東の運命を決定するといって良いでしょう。