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ドイツ銀行の危機が,ユーロの急落を招く

DDR/旧東ドイツ お札ミニチョコレート - ドイツ

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 いよいよドイツ銀行が危なそうです。少なくともその気配があるとは言えるでしょう。
 ドイツ銀行のCEOが、銀行の会長との対立から、「数週間以内に」解雇される可能性があるとのことです。この動きは、既に弱体化しているメルケル政権を揺るがせるかもしれません。

  「ドイツ銀行CEOのジョン・クライアンの地位はオーストリア人のポール・アシュライトナー会長によって脅かされているように見える
 FTによれば、クライアン氏は5月24日の年次総会の前に解雇されるかもしれない。そしてドイツ銀行は後任を探しているというのである。
 情報筋によれば、「彼は年次総会までは持たない」とのことだ。
 クライアン氏が、CEOに着任したのは2015年のことだ。彼は収益に行き詰まっていたドイツ金融業界に新風を吹き込み、訴訟問題や低下した株価といった問題も解決する意気込みにあふれていた。
 しかし、銀行の業績は低迷したままであった。さらには、クライアン氏のリーダーシップの欠如が、危機をもたらした主な原因と言える。
 この数カ月、ドイツ銀行は年間の赤字、投資銀行部門の収益の減少、2018年のコストカット計画の目標の引き下げを次々と発表してきた
 会長の考え方に通じている人物は、「ジョンは、戦略を実施する決意に欠けているかのように見える」と語っている。
 さらに、情報筋は「監査委員会は、彼に関して生じた出来事に本当に当惑している」と付け加えた。
 また、フランクフルトの情報筋によれば、英国人CEOの罷免はアシュライトナーの自らの地位を守る試みである可能性がある。
 ドイツ銀行内部で両者の関係は決して良好なものではなかったが、その関係は昨年からさらに悪化したようだ。
 会長とCEOは,銀行の将来像に対して違った見方をしていたといわれる。
 クライアン氏は投資銀行部門を大幅に削減する事を望んでいたのに対し、アシュライトナー氏は投資銀行部門の削減を回避しようとしていた
 経営幹部は、「クライアン氏とアシュライトナー氏は、投資銀行部門に関して判断を下さなければならない。これが全ての背後にある」と伝えている。
 ドイツ銀行内部の不安定性は,ドイツ銀行をより不安定にする。それはドイツのメルケル首相にとってもダメージとなろう。
 2016年、メルケル首相は、銀行救済のために政府の資金は投入しないと断言している。
 ヨーロッパでも最も重要な銀行の倒産はメルケル首相の脆弱な連立政権を崩壊させるかもしれない。
 しかし、公的資金の投入はユーロを不安定化させる。そのことは、EU内部でのメルケル首相の地位を弱体化させるであろう。
 ドイツ銀行は、より貧しいEU圏の銀行の状況と比較すれば、デフォルトに陥る可能性が高い
 金融誌の編集者であり、債務問題の専門家であるホルガー・シェピッツは、ヨーロッパ大陸で最も高い。ドイツ銀行は、次々と押し寄せる危機に対して綱渡りの状態だと述べた。
 彼はドイツ最大の銀行の信用危機はイタリアの資金が枯渇したウニクレディット銀行よりも状況が悪いと語っている。」

Deutsche Bank boss could be SACKED ‘within weeks’ and bring down Merkel with him | World | News | Express.co.uk

 ブルームバーグには投資銀行部門の縮小が報じられています。

Deutsche Bank Is Considering More Cuts at Investment Bank - Bloomberg

ブルームバーグによれば、大きな赤字を出している投資銀行部門を切り落とそうとしているクライアンCEOに対して、これまでの収益源であったアシュライトナー会長が投資銀行部門を維持しようとしているということです。
 特に問題になっているのがアメリカでの投資銀行業務です。とにかく、経営不良の銀行内で、路線闘争が行われているというだけで、マイナス要因でしょう。ドイツ銀行が倒産すれば、イタリアの金融聞き所では済みません。この記事にもあるように本格的にメルケル首相に退陣を迫ることになるかもしれません。