マクマスター辞任の影響
マクマスター安全保障問題担当補佐官が辞任するという報道がちらほらと見られるようになってきました。その原因と影響を考察します。
ブルームバーグは次のように伝えています。
「米国防総省は、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)に向けた新たな役職の選択肢について検討している。マクマスター補佐官は、トランプ大統領との対立から近く辞任するとの観測が強まっている。
ホワイトハウスの当局者によれば、ケリー大統領首席補佐官は最近、マクマスター氏が就けそうな軍関連の役職について国防総省に尋ねたという。同省の動きについて知る元軍当局者は、軍の指導部はマクマスター氏に用意できそうな役職を模索しており、階級面での昇進につながる指揮官が検討されていると述べた。
米MSNBCは1日、ホワイトハウスがマクマスター補佐官を来月にも交代させる準備をしていると報じた。協議に詳しい関係者5人の話として伝えた。(後略)」
米国防総省、マクマスター補佐官への新たな役職の選択肢検討-関係者 - Bloomberg
ホワイトハウスは、公式にはこれを否定しています。
今回のトランプ大統領との確執の原因は、ロシア問題でした。これは、トランプ大統領のツイッターからも明らかでしょう。
General McMaster forgot to say that the results of the 2016 election were not impacted or changed by the Russians and that the only Collusion was between Russia and Crooked H, the DNC and the Dems. Remember the Dirty Dossier, Uranium, Speeches, Emails and the Podesta Company!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年2月18日
つまりは、ロシアは重大な脅威であると主張して譲らないマクマスターに対して、2016年の大統領選に対していまだにロシア疑惑が喧伝される現状にいらだちを隠せないトランプ大統領との亀裂が決定的になったということでしょう。
政策という観点からみれば、今回の決裂はロシア問題が原因となっているのですから、今後の政策の変更点としては、対ロ政策が緩和される事が期待できます。極東だけでなく、現在の中東での秩序を維持するには、アメリカとロシアが協力することがどうしても必要です。また、アメリカの悲願はイランの殲滅ですが、イランを背後から支援しているロシアとの本格的対決は避けたいという本音も除きます。
米軍は依然としてアフガニスタンから撤退できていません。ですから、極東での本格的な有事にはまだ対応出来ていないのです。だからこそ、ロシアとの協力は一層重要性を増しているのです。
極東でのもう一つの問題は、中国との通商問題での対立です。鉄鋼・アルミの関税引き上げは、中国の迂回輸出に対応するためとされています。北朝鮮の核も重要問題ですが、その後の中国との本格的な対立がスケジュールに入ってきた以上、ロシアとの関係回復は欠かせないというのが、トランプ大統領の本音ということができます。
したがって、マクマスター辞任で、ロシアとは縁のゆかりもない北朝鮮政策は全く変化しないと考えられます。