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仮想通貨下落の仮説

 今回紹介するのは経済アナリストの村田雅志氏の仮説です。村田氏に関しては、「人民元切り下げ」を興味深く読ませていただきました。この仮説が正しければ、日本の個人投資家が、相場に大きな影響を与えていることになります。

 村田氏のブログから紹介します。

「 ビットコインを始めとする仮想通貨価格は、16日から17日にかけて大きく下落した。仮想通貨の代表的な存在であるビットコインは、日本時間16日未明の14000ドルから下落基調が続き、翌17日午後11時近くには1万ドル割れへと30%近く下落。円建てでは160万円前後から100万円割れへと40%近く下落した。他仮想通貨も16日から17日にかけて15~30%程度下落し、仮想通貨全体の時価総額は6500億ドルから4500億ドルに減少した。

 一部メディアは、仮想通貨価格の大幅下落の主因として、韓国や中国当局が仮想通貨取引に対する規制を強化するとの観測報道を指摘した。しかし、両国当局ともに、以前から仮想通貨取引に対する規制強化を示唆しており、16日から17日にかけての大幅下落の理由としては高い説得力があるとは言い難い。

 筆者の仮説でしかないが、今回の仮想通貨の大幅下落の一因は、ドル円の下落なのかもしれない。ドル円は、1月8日の113.4近辺をピークに下落基調が続き、16日未明には110.3円と、昨年9月15日以来の安値を記録した。

 ドル円と仮想通貨との間をつなぐのは日本の個人投資家だ。ドル円の下落で損失を計上した日本の個人投資家が、大きな含み益がある仮想通貨を売ったという見方である。

 外国為替証拠金取引(FX)業者の自主規制や調査業務を行う金融先物取引業協会は18日、2017年の店頭FX業者の取引高が4,313兆円と、2年連続で減少し、2014年以来の低水準になったと発表した。取引所FXを運営する東京金融取引所は、2017年の取引所FX(くりっく365)の取引枚数が約2900万枚(1枚は1万通貨単位)と、前年(2016年)から33.5%減少したと発表した。

 2017年にFX取引高が減少した一因として、円相場が対ドルを中心に小幅な動きが続いたことが指摘されているが、仮想通貨取引の普及も考えられる。仮想通貨の値動きは、為替相場に比べ非常に大きく、一部取引所では10倍以上のレバレッジをかけることもできる。積極的なFX取引者の一部が、小幅な値動きが続く為替相場に見切りをつけ、大きな値上がり益やトレーディング益が期待される仮想通貨に取引場所をシフトさせたとしても不思議ではない。現に、外為どっとコム総合研究所の調査によると、「仮想通貨を既に取引している」と答えた割合は昨年12月時点で8.6%と、同年5月調査の3.1%から上昇している。

 筆者の仮説は、大幅下落した後の仮想通貨の値動きとも整合的に見える。17日に1万ドルを割り込んだビットコインは、翌18日には12000ドルちょうど近辺まで上昇。しかし、本日(19日)は11000~12000ドルの間で伸び悩んでいる。一方、ドル円は18日早朝に110円台後半から111円台前半に急伸。しかし、その後のドル円は上値の重い動きが続き、原稿執筆時点(19日午後5時ころ)には110円台後半まで下落した。ドル円の急伸と、その後のじり安の動きは、ビットコインの動きと連動しているようにも思える。

 仮に筆者の仮説が正しければ、ドル円のさらなる下落は、仮想通貨の売り圧力の強まりにつながることになる。仮想通貨市場の取引参加者の一部からは、仮想通貨の下落局面は終了しており、再び上昇基調に入ったとの見方も出ている。しかしドル円の上値が重い現状を考えると、目先は慎重な見方を維持した方がよいように思える。」

たまさしノート: 仮想通貨・大幅下落につながったドル円の下落

 ドル円の下落が仮想通貨の売り圧力につながっているとすれば、非常に大きな発見だと思います。

 では次に問題になるのは、ドル円の下落の原因ということになるでしょう。最近チャートを眺めていますと、タイミング的に、どうもユーロ・ドルの上昇が、ドル円の下落につながっているような気がします。

 とするならば、ユーロ・ドルの上昇→ドル円の下落→仮想通貨の下落と整理できそうです。