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トランプ米大統領:北朝鮮との対話参加に前向き

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 今回紹介するのはブルームバーグの記事ですが、昨年末までのトランプ政権の姿勢から見れば、少なくとも表面的には大転換であるように見えます。

 しかし、アメリカによる先制攻撃の可能性は、何度も紹介してきたように低かった訳ですから、暴露本によって動揺し,思わず本音が出たというところでしょう。

 「トランプ米大統領は6日、韓国と北朝鮮による協議に米国が「適切な時期に」参加することに前向きな姿勢を示した。また、正しい条件の下であれば北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長と直接対話する用意があると表明した。

 トランプ氏はワシントン郊外のキャンプデービッドでの記者会見で、9日に行われる南北高官級会談について、「現時点では彼らは五輪について話し合う。これはスタートだ。大きなスタートだ」と語り、来月開催される冬季五輪での協力以上の成果につながれば、それは「人類にとって素晴らしいことだ」とした。

 これまでツイッターや国連演説で「ロケットマン」と呼んできた金正恩委員長と話し合う用意はあるかとの質問に対し、トランプ氏は「もちろんだ。私は常に対話を信じている」と答え、金委員長は「私が少しもふざけていないことを分かっているだろう」と付け加えた。自身の厳しい発言がなければ南北会談は不可能だっただろうとも主張した。

 米国のヘイリー国連大使は7日、ABCの番組「ジス・ウイーク」で、北朝鮮が核実験などを「かなりの時間」停止し、核兵器禁止に関する話し合いを受け入れる必要があると語った。

 ヘイリー大使は、トランプ氏のツイートが人々を不安にさせる可能性はあるが、圧力を維持し、金委員長が核兵器の使用を決めれば米国には北朝鮮を破壊する力があると同委員長に思い出させることが重要だと説明。「核戦争を始めた場合、何が起きるかという現実に気付かないほど傲慢(ごうまん)にさせないことが極めて重要だ」と語った。」

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-07/P27KHG6S972801

 今回の南北直接対話は、ピョンチャンでのオリンピックという口実があるために、日本も反対しにくいといえます。アメリカにしても,マティス国防長官が、「兵站上」の理由から演習を延期すると語っています。ですから、韓国にしても,アメリカにしても、対話に肯定的であるのは仕方がないことなのかも知れません。

 しかし、その一方で、北朝鮮が年明けから挑発的な発言を控えていることにも注目する必要があります。確かに、韓国に北朝鮮に対する融和的な姿勢は問題ですが,それ以上に、北朝鮮は,というよりはむしろ金正恩個人は精神的に追い詰められているとみるべきなのではないでしょうか。北朝鮮のオリンピック参加にしても、緊張緩和を測るための口実にしか見えません。オリンピックまではさしあたり何もないことになりましたが、オリンピック後の緊張の高まりに、金正恩は耐えられるのでしょうか。それが、今回の北朝鮮問題の本当の分水嶺となるでしょう

 いずれにせよ、これで北朝鮮は核実験はおろか,ミサイル実験も行いづらい環境になりました。経済制裁は続くので、臨検などが厳密に行われるようになれば、金正恩体制は揺らぎを見せることになるとみられます。