FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

イランでの騒乱の原因

 イランでの騒乱は,政府側のデモも見られ,完全に鎮圧されたようです。今回はこの騒乱の原因がどこにあったのかを紹介します。

 ディフェンス・ニュースからです。
 「イランではなぜ市民が抗議しているのか。これは、今回の騒乱を「この数十年で最大規模の一つ」と描写する地域の戦略分析家たちによって提示されている問題である。その答は、主に軍事投資にある。
 今回の抗議活動はほぼ1週間前に、イラン第2の都市、マシャードで勃発した。その原因は社会経済面での困難、特に青年の高い失業率であった。
 「イラン体制はほとんどの資源を革命の輸出と地域での影響力の拡大に割り振っている。そんなわけで、膨大な資金が革命防衛隊に費やされている」と、湾岸中近東軍事分析研究所のリアド・カワジ所長は述べている。カワジ所長は,アラビア圏で軍事面を専門に扱うSDアラビアの創設者でもある。
 「経済の誤った運営と不適切な資源配分が、極度の貧困を生みだしており、今回の大きな反発を生んでいる。とりわけ、低収入の国民に対する政府の支援が削減されるという決定が下された後は,反発は激化している。」とカワジは付け加えた。「そのために反動が生まれている。イラン国民はイラン政府が、イラク、シリア、ガザでの軍事的冒険のために資金を投入することに反対している」
 「ガザではなく、レバノンでもなく、私はイランのために生命を捧げる」というスローガンが抗議者達によって繰り返されている。これは、おそらくテヘランがこの地域の同盟国に対して,主に,武器、物資、訓練プログラムの形態で支出している数十万ドルもの資金を指している。
 ロイターによれば、2017年半ば、イスラエルの国防筋はイランが年間8億ドルをヒズボラに支出、7千億ドルを,ガザ地区での主要な派閥であるハマスに支出していると見積もっている。
 最近、ロイターは、イスラエル参謀総長のガディ・エイゼンコット将軍が、イランのヒズボラへの投資額は毎年10億ドルから7億ドルに相当するという発言を引用している。エイゼンコットによれば、パレスチナ地区への投資も、ガザ地区へのハマスイスラムック・ジハードへの投資が1億ドルに達する。
 匿名を条件に語ったある情報筋は、イランが軍事的能力を拡大していることを強調し、「イランの抗議活動の原因は、テヘランの防衛能力を拡張する一方で、ミサイル防衛、核計画、自動運転車両の開発への投資といった特定の目的を達成するために、政府が課した財政上の制約にある」と語っている。
 昨年12月、イスラム革命防衛隊司令官のアミル・アリ・ハジザデは、イランが今日、「電子戦分野と同様に、ミサイル技術,ドローン、レーダー産業で長足の進歩を遂げている」と明らかにした。イランの議会も、昨年の8月に、ミサイル防衛や海外での作戦計画に5億ドルを費やすことに賛成している。
 「イランの軍事支出は2016年に比べて、2017年には20%増大した。ロウハニ大統領の最近の4年間で、イランの軍事支出は2倍以上に増加した」と国際アメリカ会議のマジド・ラフィザデは述べている。
 ラフィザデは、「ロウハニ大統領は、2018年から2019年にかけての予算で、軍事支出を聖域化し、90%近く増加させた。その一方で貧民に対する補助金を削減した」と付け加えた。「イランの軍事費増大の理由は、イランの現体制の他国、とりわけ,シリア内戦とこの地域のプロクシ勢力への支援での軍事的冒険主義に関連している」
 昨年2月に刊行された研究において、ラフィザデは、公式の数字で、イランの予算案は1060億ドルに達すると記している。その予算のおおよそ四分の一が直接、軍事、弾道ミサイル・核計画に投入されている。
 抗議への対応という点では、軍事専門家のナジ・マラエブは催涙ガスを使用した警察の対応の後で革命防衛隊とイラン軍が鎮圧に当たると予想している。
 「もし我々がイラン軍の内外の軍備によって支持される分断を目にしなければ、現体制は一層強化されるだろう。そして、その意味は革命防衛隊の司令官であるモハンマド・アリ・ジャファリが放棄を鎮圧すると表明したそのタイミングの早さにある」とマラエブは付け加えた。」

Iranian protest: ‘Military adventurism’ at the core of citizens outcry

 年間予算の四分の一が軍事費並びに同盟国、友好勢力への資金援助というのは、イラン国民にとっては耐えがたい苦痛でしょう。周辺諸国との対立をかき立てて、一般のイラン国民に得るものがあるのかというのが、今回の騒乱の大きなきっかけとなっていると考えられます。軍事方面の予算が急速に拡大しているのは、最近の原油価格の復調によるところも大きいと考えられます。対イスラム国戦では勝利を収めたイランですが、思わぬ所に伏兵がいたということでしょう。