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トランプ大統領のイラン政策の矛盾

 なかなか,イランでの騒乱は収まりません。トランプ大統領はイランでの抗議者に支援を申し出ていますが、「偽善である」という批判も受けています。本音で言えばイランの混乱に介入したいのでしょうが、なかなかそれを許さない状況でもあると言うことのようです。

  「トランプ政権は火曜日にイランでの抗議者への支援を明らかにし、他の国家もテヘランの暴力的なデモ参加者への取締に反対するように求めた。
 アメリカのニッキー・ハーレー国連大使は、国連の安全保障理事会ならびに人権委員会で、イランでの不穏な情勢に関して演説を行った。
 「国連は発言するべきです」と、ハーレーはニューヨークの記者会見で述べた。「我々は口をつぐむべきではありません。イランの国民は自由を求めて声を挙げているのです」
 ワシントンでは、国務省がイラン政府にインスタグラムやほかのソーシャルメディアを停止しないように求めている。というのもデモ参加者がこれらのメディアを通じて、写真はビデオを共有しているためだ。
 「それらはコミュニケーションのための合法的な手段だ」と述べるのは、国務次官のスティーブ・ゴールドスタインである。「イランの国民は、これらのサイトにアクセスできなければならない」
 ホワイトハウスは、オバマ大統領時代のイラン政策から決別しつつあり、イランの抗議者への支援を表明している。
 トランプ大統領は火曜日朝に、「アメリカは」反政府抗議活動を「見ている」とツイートし、オバマ時代のイランとの核合意を、国家の状況を悪化させるものとだとして非難している。
 「イラン国民は最終的に野蛮で腐敗したイランの現体制に反旗を翻した」とトランプ大統領は記している。「オバマ大統領が愚かにもイランに引き渡した資金はテロと彼らのポケットに入った」
 しかし、もう6日間抗議活動を継続している抗議者達は、トランプ政権の攻撃的なアプローチの限界を試している。
 イラン人達はまず街路で、停滞する経済に対して政府への怒りを爆発させた。しかし、抗議活動はすぐに広がり、トランプ大統領がアメリカ第一の敵と名指ししているイランの支配階級への不満に広がりを見せた。
 火曜日にAP通信が報じたところによれば、デモの鎮圧で9名が死亡し、最終的に死者は21名にまで増加した。
 今回の抗議活動は、2009年の大統領選の際に発生した「緑の革命」以来、最大規模となっている。
 オバマ政権は、これらの抗議活動への反応が遅すぎたと非難された。ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は火曜日の記者会見で,その点に言及している。
 「トランプ大統領オバマ大統領のように黙って座ってはいません。大統領がイランの人々を支持していることは明らかです。そして、そのことを明らかにしようとするでしょう」とサラ・ハッカビー・サンダース報道官は述べている。
 こうした支援の表明にも関わらず、サンダースはイランでの政権交代には言及しなかった。
 「究極的なエンドゲームは、イランの市民と人々に実際に人権が与えられることです。トランプ大統領は、イランがテロ支援国家であることをやめることを望んでいるのは確かです」
 ホワイトハウスはレトリックをステップアップしているが、トランプ大統領政権が抗議活動に反応してこれ以上の対応をするかどうかは不明である。
 トランプ政権は、イランでの悪化する人権状況に対して制裁強化を考慮していると伝えられている。しかし、ホワイトハウス当局は,その制裁の詳細に関する質問には答えていない。
 外交問題の専門家の中には、アメリカの関与は逆効果になり、イランの指導者が抗議者をアメリカがイラン政府を転覆させようとする陰謀の一部として扱うことになると警告している者達もいる。
 実際,イランの最高指導者のハメネイ師は火曜日に抗議活動を「イランの敵」と非難している。その一方で、国家最高安全保障会議のアリ・シャムハニは、米国、英国、サウジアラビアを非難している。
 イラン外務大臣のモハンマド・ザヴァド・ザリフはトランプ大統領ダブルスタンダードを採用していると言って非難している。トランプ大統領サウジアラビアと緊密な関係を維持しているが、サウジアラビアは貧弱な人権でしばしば批判されているためだ。
 「イランの安全保障と安定性は、イラン国民に依存する。イラン国民はトランプ大統領の友好国(サウジアラビア)と異なり、投票し抗議する権利を持っている。イラン国民の試練によって勝ち取られた権利は保護される。そして、潜入工作者たちは暴力と破壊活動を通じてイランを破壊しようとすることはゆるされない」
 民主主義擁護基金のイラン専門家であるベナム・ベン・バレブルは、ホワイトハウスとも緊密な関係を保っているが、彼はトランプ政権の抗議活動への対応は「狙い通り」だと述べている。
 彼は国務省の「イラン国民は長年にわたるイランの指導者による犠牲者だ」という表現を賞賛している。
 タレブルは、「トランプ政権はこのレトリックを維持するべきだ」と述べ、腐敗と人権侵害に焦点を絞った「賢明な制裁」を科すべきだと主張する。
 「鍵は、レトリックがイランの現場での現実と合致していることを明確にし、制裁によってレトリックを指示することでイラン国民を支援することだ」と彼は述べている。
 それでも、タレブルはイラン政府が、抗議者の正当性を奪うために米国の支援を使用する危険性も認めている。
 「イラン国民は自らこの運動を開始した。彼らは行動に乗り出した人間だ。アメリカはそれを指導するべきではない」とタレブルは述べる。「しかし、それと同時に、彼らにレッテルが貼られることを恐れて、我々が攻撃の矛先を弱めても、イランでの抗議者達はやはりレッテルが貼られる。そして、彼らは街路で抗議を行うだろう」
 イランとの核合意を支持したアメリカイラン国民会議のトリタ・パルシは、トランプ大統領は、過去のイランに対する行動とレトリックで、イラン国民から信じられなくなっていると述べている。
 「イランの街路で、トランプ大統領は人気も、信頼性もない」とパルシは述べる。
 トランプ政権が本当に抗議者を支援したいと考えているのであれば、イラン国民のアメリカへの旅行禁止措置を解除するべきだとパルシは述べる。
 「抗議者が自国から逃れる必要がある場合には、このことはとりわけ重要だ。」とパルシは語っている。
 「彼らの支援をすると同時に、イスラム教を禁止し、彼らをテロリストとして扱うことはできない」とパルシは述べている。」

Trump ratchets up support for demonstrators in Iran | TheHill

 道義的に支持は表明しても、あまり深く関与できない現状がよくわかります。抗議者を支援すればするほど、彼らがかえって「アメリカの傀儡」として一層の批判を浴びるという矛盾を解決することが出来ないのです。
 とはいえ、支持を表明したという点では,オバマ大統領とは全く異なるという見方も出来るでしょう。このまま、イランの政情不安が続けば、それは北朝鮮にも伝播することになると考えられます。