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追い詰められた北朝鮮

 すでにロシアも北朝鮮国境にミサイル防衛システムを配備したと報じられています。中国はもとより北朝鮮に対しては敵対的です。そして、今回は米ロの外相が北朝鮮問題について合意に達しました。北朝鮮はもう後がありません。

  「二大国は、北朝鮮の核ミサイル危機を解決するために外交努力を継続することで一致した。
 しかし、同時に、米ロは金正恩が,アメリカやヨーロッパを射程に収める核兵器を持つことを受け入れなかった
 今後は、アメリカとロシアは共に朝鮮半島の非核化を追求し、金正恩に核を放棄するように圧力をかけることになる。
 ワシントンと国連が新たな北朝鮮制裁決議を可決した後で、レックス・ティラーソン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は火曜日に電話会談を行った。
 国務省のヘザー・ノイアート報道官は「ティラーソン国務長官とラブロフ外相は北中戦の非核化に関する懸念を協議した。そして、双方が北朝鮮を核保有国として認めないという点を強調した」と述べた。
 国務長官はロシア外相から苦情も受けた。ラブロフ外相がティラーソン国務長官に対して、ワシントンの北朝鮮に対する『挑発的なレトリック』が緊張を高めており、受け入れられないと語ったことをモスクワは確認している。
 ロシアは何度も聞き解決のための対話を要求していた。しかし、その申し出もトランプ大統領の「炎と激怒」のレトリックで消し飛んでしまっている。
 ティラーソン国務長官は外交を強調してきた。しかし、トランプ大統領は、北朝鮮に対して、何度も、軍事的オプションも含めた全てのオプションがテーブルにあると警告してきた。
 10月には、トランプ大統領は、ティラーソン国務長官金正恩と交渉しようとしても「時間の無駄」だと語っている。
 そして、12月には、ホワイトハウスは、北朝鮮がまず態度を改めるべきだとして、前提条件なく会談するという申し出を撤回した。北朝鮮の核計画の否認は、外交交渉で妨げになり得る。なぜならば、会談の成功は核計画にかかっているためだ。
 金正恩は、必死になってアメリカから承認を得ようとしている。そして、自国の核計画が国際的な尊敬を集めることを期待している。
 北朝鮮は米国との外交関係を数十年も求めてきた。そして現在も平等な国家として認められようと必死になっている。
 北朝鮮が専門のロンドンのキングスカレッジの国際関係論の講師のラモン・パチェコ・パルドは、『北朝鮮が本当に望んでいるのは承認だ』『この観点からすれば、このことは2つのことを意味している。一つは外交的な承認、アメリカとの国交だ。そして、現在核保有国としての承認も希望している』

 『北朝鮮の経緯を1970年代まで振り返ってみれば、北朝鮮は国家承認を求めていたことがわかる。彼らは常にアメリカとの外交関係を望んでいたのだ。そして、1990年代から、2000年にかけて、アメリカは、北朝鮮を承認しようとした。』
 『しかし、問題はアメリカが見返りに何を与えるかだ。それは経済援助だろうか。制裁の撤廃だろうか。北朝鮮の国家承認だろうか。』
 彼は米朝が、ロシアや中国と並んで最終的に交渉のテーブルに着くと予想している。しかし、核保有国としての承認はなされないのだから、国家承認も困難だろう。というのも、核開発こそ、金正恩にとってのレッド・ラインだからだ」

North Korea latest: US and Russia REFUSE to recognise Kim Jong-un as nuclear power | World | News | Express.co.uk

 これは記事の通りでしょう。北朝鮮が求めているのは、国家承認なのです。しかし、それ以前に核保有を最大の目標としているために、国家承認は得られないということになっています。核がなければ、リビアのようにやられてしまうという恐怖感が核保有の動機であったはずですが、皮肉なことに、核を持つことによって、経済封鎖が行われ、そのまま経済的に追い詰められることになったのです。
 となると、アメリカが北朝鮮に対して先制攻撃を仕掛ける可能性は低いと言えます。また、ロシアとの協力関係が、少なくとも最低限は構築されたと考えられますから、北朝鮮は、自ら核を放棄するか、あるいは金正恩に対するクーデターか、あるいは逆ギレしてミサイルを発射するかの3つの可能性だけが残されることになりました。米軍も北朝鮮周辺で演習を執拗に繰り返すでしょうが、そうした状態が当分続くと考えられます。あとは、脆弱な育ちの金正恩の神経がどこまで持つのかがポイントでしょう。