FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

エジプトに接近するロシア

 12月11日にプーチン大統領がエジプトを訪問しています。ロシアが提示するエジプトへのカードはどれも魅力的であり、今後、一層の関係強化が予想されます。

 エジプトと言えば、長らくアメリカにとって中東の重要な拠点の一つでした。しかし、トランプ大統領の「エルサレム首都」の決定により、全てがきしんでいます。その隙に乗じてロシアが接近とは言えるのですが、プーチンはなかなかしたたかです。

 日本経済新聞から引用します。

「【カイロ=飛田雅則】ロシアのプーチン大統領は11日、エジプトの首都カイロを訪問し、同国のシシ大統領と会談する。両国間の軍事協力やエジプト初の原子力発電所建設への支援などを協議する。その後にトルコに移動してエルドアン大統領に会う。イスラエルの首都をエルサレムと認定したことで中東との関係がきしむ米国の隙を突き、影響力を高める思惑がにじむ。

 プーチン氏は11日午後にもカイロに到着し、シシ氏と会談する。ロシア政府関係者によると、首脳会談の議題は(1)エジプトへの武器売却や同国にある空軍基地の相互利用など軍事協力(2)エジプトの原発建設への支援などエネルギー分野の協力――など多岐にわたる。

 首脳会談で注目されるのがエジプト空軍基地の利用だ。ロシアは現在もシリアの空軍基地や港を利用しており、エジプト空軍基地を軍用機の発着に使えるようになれば、中東での軍事的な存在感が高まる。

 エジプトは伝統的に米国と軍事的な関係が深かったが、足元ではロシアに接近するそぶりをみせる。2012年以降にロシアから40億ドル程度の武器を購入し、16年にはロシアから部隊の派遣を受けて軍事演習を実施した

 同国では11月に300人超が死亡したテロが発生し、保有する兵器の拡充は急務だ。しかし米国への反発が強まる国民感情を考慮すると、米国との関係強化は打ち出しにくい。こうした事情をにらんでロシアが急接近しているもようだ。(以下略)」

ロシアが中東に接近 プーチン大統領、エジプトに軍事協力 :日本経済新聞

 注目されるのは、経済協力の中身の原発の建設です。エジプト版のRTによれば、この原発の90%の資金をロシアが拠出し、原発の運営技術も指導し、部品の工場も設置し、最終的に25%の部品をエジプト製にするというのです。このプランには、シシ大統領も大喜びしたことでしょう。どこかの国のAIIBとは比べものにならない破格の条件です。

 そこで、改めてロシアのエジプト接近の意味はどこにあるのかを考えれば、日経の記事が触れているように、軍事協力の緊密化、エネルギー分野の協力以外に、エジプトをアフリカ大陸への進出の足がかりにしようとしていると考えられます。