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進む日英接近

 キャメロン首相の時代から考えれば、EU離脱が決定してからの英国はもう全く別の国と呼んでもよいほどです。

 産経新聞から紹介します。

 

「1世紀あまり前、帝政ロシアの南下を防ぐため結ばれた「日英同盟」(1902~23年)復活に向けた防衛と安全保障協力などの動きが加速している。物品役務相互提供協定(ASCA)や次世代ステルス戦闘機での技術協力に続き、14日にロンドンで開く外務・防衛担当閣僚級会議(2プラス2)では、戦闘機に搭載する新型空対空ミサイル(AAM)の共同開発で合意する見通しだ。欧州連合(EU)離脱を選択した英国が「孤立」への懸念から、米国の同盟国という共通点を持つアジアの准同盟国、日本に急接近している。

加速する安保協力

 日英両政府は1月、自衛隊と英軍が物資を相互に提供し合うACSAに署名した。日本にとっては、米国、オーストラリアに続き3カ国目。日英は国連平和維持活動(PKO)や共同訓練、災害救援活動で食料や燃料、弾薬などを相互提供などが可能になる。

 続いて3月、次世代ステルス戦闘機開発に関して機密を含む情報交換を可能とする技術協力に向け、米国以外の国で初めて英国と共同研究する覚書を締結。戦闘機開発を検討中の英国と情報共有して共同開発の可能性を模索している。英国側は日本の高性能のレーダー技術に関心を寄せる。

 日英両国は、英がドイツ、フランスなど欧州6カ国で共同開発した空対空ミサイル「ミーティア」に航空自衛隊のF15戦闘機に搭載される空対空ミサイル「AAM4」の技術を組み合わせる共同研究をしてきたが、さらに今月14日の2プラス2では、米国以外で初めて共同開発に乗り出すことを共同文書に明記する。防衛、安保協力は加速するばかりだ。

対中政策転換

 安保協力強化の先には、南シナ海などで海洋進出を強める中国をけん制する狙いがある。英国のEU離脱が決まった昨年6月の国民投票後に就任したメイ英首相は、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に米国の反対を押し切って最初に参加するなどしたキャメロン政権の「英中蜜月路線」の修正を図っている。“媚中派”のオズボーン前財務相を更迭、今年5月に行われた中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」首脳会議への参加も見合わせた。「中国との連携関係は経済に限る」。日英外交筋は、英側の思惑をこう分析する。

 英国は、EU離脱を選択したことで、欧州諸国との関係が悪化する可能性が高い。孤立を深めて衰退しないようにパートナー探しが急務だ。

 メイ氏は1月、トランプ米大統領の就任直後にいち早く会談。第二次世界大戦でのチャーチル元首相にならい、米英の「特別な関係」を復活させた

さらにメイ氏が目をつけたのが、「先進7カ国(G7)の首脳の中でもメルケル独首相についで経験があり、トランプ氏やロシアのプーチン大統領とも良好な関係を築いている安倍晋三首相、日本との関係拡大だった」(日英外交筋)というわけだ。

 日本とは同じ立憲民主主義国家で、法の支配という価値観を共有する。北朝鮮と神経戦を繰り広げる同盟国の米国のトランプ氏は、基本的には、「反中」だ。そして、日本とは同盟関係にある。日米との関係を進展させる上でも、メイ氏は中国に傾斜していた前政権時代の政策を修正する必要があったのだ。

 8月に就任以来初めて日本を訪問したメイ首相は、「日本は同志のような国。アジアで最大のパートナー」と語り、北朝鮮を抑止するには「中国が重要」との認識で安倍首相と一致。東・南シナ海やインド洋で、国際法に基づく秩序維持のための連携を確認し、海洋進出を強める中国をけん制した。

 昨年10月、英空軍の戦闘機「タイフーン」4機が青森県に飛来し、航空自衛隊のF15戦闘機4機とF2戦闘機4機と付近の空域で共同訓練を行った。日本国内で米軍以外との共同訓練は初めてだ。

 これに関連して英国の駐米大使がタイフーン戦闘機が帰途、中国が軍事拠点化を進める南シナ海上空を飛行すると発言。ファロン前国防相は10月の保守党大会で、タイフーンが南シナ海上空を飛行したことを認め、「今後もそうすることはある」と述べた。またファロン氏は今年7月、2018年に南シナ海へ新造空母を派遣し「航行の自由」作戦を実施すると述べた。(以下略)」

【岡部伸の新欧州分析】「英中蜜月」修正→21世紀の「日英同盟」? 日本とイギリス急接近のワケ(1/6ページ) - 産経ニュース

 英国が中国を見放した最大の原因は、中国の国家の統治能力への疑問があったと考えられます。次々とつぶれる海外プロジェクト、果てしない公害、人権の無視、そして終わらない周辺諸国への侵略と、人類の存続を危うくするとみなされているのでしょう。

 むしろ、中国からインドに乗り換えたといった方が正確でしょう。中国が今回の世界大戦で敗北する、それを見越しての日英接近と考えられます。

 英国にとっての目下の最大の目標は、大英連邦諸国との関係を強化し、EU離脱のダメージを回避することにあります。

 これは、経済に関しても同様です。没落する中国経済に対して、台頭するインド経済という図式が、来年以降明確になるでしょう。