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サイバーセキュリティー専門局の新設が認められなかったのはなぜか

産経新聞より引用します。

 政府が総務省の要望していたサイバーセキュリティー専門局の新設を見送る方向で最終調整に入ったことが9日、分かった。モノのインターネット(IoT)時代の到来でサイバー攻撃の危険性の増大が懸念され、総務省は省庁で初のセキュリティー専門局を新設して対策を強化する考えだった。だが、政府全体の局数が法律で定められており新設の余地が乏しいことなどから、官邸が難色を示しているという。

「サイバー防衛局」見送りへ、新設の余地乏しく官邸が難色か 「攻撃で大規模交通事故も」と疑問の声(1/2ページ) - 産経ニュース

 さて、新設が見送られたのはなぜでしょうか。

  その理由は簡単で、すでにサイバー問題を担当する部局が存在するためです。

実際に、平成28年度版の防衛白書には次のように記載されています。

「11(平成23)年に発覚した防衛関連企業に対するサイバー攻撃事案などを受け、府省庁が連携し機動的な支援を行うため、12(同24)年6月には、内閣官房情報セキュリティセンター(NISC:National Information Security Center)」「情報セキュリティ緊急支援チーム(CYMAT:Cyber Incident Mobile Assistance Team)」が設置された。

増大するサイバーセキュリティに対する脅威に対応するため、14(同26)年11月には、わが国のサイバーセキュリティの施策の基本理念や国及び地方公共団体の責務などを明らかにするとともに、サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進し、わが国の安全保障などに寄与することを目的とした「サイバーセキュリティ基本法が成立した。

これを受けて、15(同27)年1月には、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」、内閣官房に「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC:National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity)」が設置され、サイバーセキュリティにかかる政策の企画・立案・推進と、政府機関、重要インフラなどにおける重大なサイバーセキュリティインシデント対策・対応の司令塔機能を担うこととなった。また、同年9月には、サイバーセキュリティに関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、「サイバーセキュリティ戦略」が策定され、自由、公正かつ安全なサイバー空間を創出、発展させ、もって経済社会の活力の向上及び持続的発展、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、国際社会の平和、安定及びわが国の安全保障に寄与することとされた。」

 とまあ、内閣府に統括組織がすでに確立しており、防衛省警察庁では具体的な対応が進んでいます。

 したがって、問題は「総務省というところに問題があった」と考えられます。省庁間の縄張り争いという点からすると、出遅れているという印象は否めません。通信行政をつかさどっているという点では、スタート地点としては悪くなかったはずですが、初動が遅すぎたということでしょう。