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中国人民銀行総裁が警告する「ミンスキー・モーメント」

 少し前の報道ですが、今後のマーケットの動向を考える上でも欠かすことの出来ない論点だと思います。

 ブルームバーグからです。

中国人民銀行中央銀行)の周小川総裁は10月19日、過度の楽観主義が資産価格の突然の大幅下落を引き起こしかねないと警告した

  周総裁は「ミンスキー・モーメント」として知られる概念を使って脅威を指摘した。資産価格が持続不可能なペースで上昇する、もしくは信用の伸びが止まった後に資産価格が急落することを意味し、強気相場が長期間続けば価格の大幅下落を招く可能性があると主張した米経済学者ハイマン・ミンスキーの名前から取られた概念だ。

  周総裁は第19回共産党大会に合わせて行われたイベントで質問に答え、「景気循環を増幅する要素が経済にあまりに多く存在すれば、景気変動のぶれが大きくなる」と発言。「物事が円滑に進んでいるときに過度に楽観的であれば緊張が高まり、それが急激な調整につながる可能性がある。ミンスキー・モーメントと呼ばれる状況で、われわれは特にこれを防がなければならない」と述べた。

 同総裁は価格が急落する可能性のある資産クラスを具体的に挙げることはなかった。企業と家計の債務リスクを広く警告した上で、一部企業の資本効率の低さと不適切な直接ファイナンスなどを背景に企業の借り入れは「非常に高水準」だと指摘。家計の債務については非常に大きいとは言えないが急増しているとの認識を示し、「家計部門のレバレッジ縮小を進めるわけではないが、レバレッジの質を注視する必要がある」と述べた。」

人民銀総裁が警告、中国は「ミンスキー・モーメント」の脅威防ぐ必要 - Bloomberg

 これは、先月の中国共産党大会での発言ですが、中央銀行総裁も現在の過熱気味の中国経済が「信用の伸び」によって支えられている、すなわち借金で賄われていることを認めています。

 たしかに、これまで中国経済の崩壊は、90年代の末から一貫して「崩壊する」といわれ続けてきたものです。なかなか崩壊しなかったのは、中国の市場規模が大きかったことと国際社会,特にアメリカとの良好な関係によって支えられていたためでしょう。

 いくら市場規模が大きいと言っても、そろそろ限界でしょう。むしろ、アメリカとの関係が決定的に悪化すれば、それが中国経済の終末の日(ドゥームズ・デー)になるといえるでしょう。

 既に南シナ海の問題ではアメリカと中国は対立しており、今後、北朝鮮の問題でも対立を深めるならば、中国経済にも大きなダメージが予想されます。

 そして、何も事件が起きなかったとしても、「ミンスキー・モーメント」は、いずれ訪れます。永遠に続くバブルはない。そのことを我々も胸に刻み込んでおくべきでしょう。