FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

トランプ訪日を世界はどう伝えたか

 浮かび上がりつつある新たな世界秩序を、様々な国のメディアはどう伝えたのでしょうか。非常に興味深い結果です。

 

 

1.ロシア
 国営タス通信は、トランプ大統領の訪日をHPでほとんど伝えていません。アジア歴訪の際にプーチン大統領と会談の予定があることだけが記事になっています。
 逆説的な話ですが、それだけ今回の訪日が、ショックだった、もしくはロシアにとって都合が悪かったということでしょう。
 トランプ大統領の当選で、一気に、米ロ関係が修復され、制裁解除と目論んでいたところが、アメリカメディアのトランプ憎悪がロシア介入疑惑にすり替わってしまいました。こんなはずではなかった、というのがプーチン大統領の本音でしょう。ですから、そのトランプ大統領が、日本で安倍首相とゴルフをする写真など国営通信では掲載することが出来ないということなのでしょう。
 図らずも、ロシアの孤立を浮かび上がらせる結果となりました。

2.ドイツ
 ドイツのメディアはどこも冷静ですね。フランクフルター・アルゲマイネ紙は、次のように伝えています。
 「ドナルドと晋三は同盟関係をより強固にする」これが、トランプ大統領と安倍首相がゴルフのラウンド前にでる前に公開された帽子に記されていた文言だ。この文言はトランプ大統領の選挙期間中のスローガンに似ている。しかし、安倍首相は、トランプ大統領の訪日から引き出したかった全てのものを明らかにしている。それらは、日本との同盟関係に対するはっきりとした関与、北朝鮮に対する強硬姿勢、それから通商問題には出来る限り触れないで欲しいということだ。
 安倍首相はトランプ大統領との個人的な関係を揺るぎないものとして構築し、ゴルフ外交が展開された。安倍首相が2016年トランプ大統領が当選した直後にゴルフクラブを送っている。2月には、トランプ大統領はマール・ア・ラーゴで安倍首相とゴルフに興じ、安倍首相は2020年に東京オリンピックの舞台となるカントリークラブにトランプ大統領を招待した。日本人は,客のもてなし方を知っている。そしてチームメートとして,アメリカPGAツアーのプロ選手である松山秀樹が依頼された。「二人の素晴らしい人」とトランプはツイートした。そして安倍はトランプ大統領を「親友」と激賞した。こうした振る舞いで、安倍首相はトランプ大統領との緊密な関係を構築した。これは、ユニークだ。というのも、ヨーロッパではトランプ大統領に対する留保が見られるためだ。安倍はトランプのマブダチなのである。トランプ大統領が就任して以来、両者は16度以上会談を行っている。これは過去四年間にオバマ大統領と会談した回数よりも多い。月曜日には二カ国間協議を再び行う予定だ。(以下略)」

Abe erwartet von Trump harten Kurs gegenüber Nordkorea.


 日米関係が強化されていることを比較的冷静に伝えていることがわかります。会談の数の多さにも言及されています。これを見れば、日米の協力関係が一層強まったと判断できるでしょう。
 シュピーゲル誌も、やはり帽子の写真を掲載しています。非常に象徴的なシーンであったということですね。

3.フランス
 フランスも同様ですが、今日興味深かったのは、フィガロ紙に、トランプ大統領が横田基地爆撃機の機長のジャケットを着せてもらうシーンが大きく取りあげられていたことです。
 実は、マクロン大統領が、トップガンの格好をして軍の基地を訪れたのですが、これが不評であった(笑)ことが、さりげなく記されています。
 このところマクロン大統領の支持率は下がっているので、それと対比させたくないのでしょう。逆にいえば、トランプ大統領の支持率は見かけよりも高いのかも知れません(少なくとも軍人には)。

4.インド
 インドはといえば、今回のトランプ大統領の訪日よりも四カ国同盟のことで話題が沸騰しています。4カ国同盟とは、米国、日本、インド、オーストラリアの四カ国による同名です。表向きは否定されていますが、これは対中包囲網です。中国との戦争を前提とした枠組であると考えて良いでしょう。

 ここでは紹介しませんでしたが、中国は,アメリカとの対決を何とかして回避したいという意欲が強く、今回の訪中でも友好イメージが前面に押し出されることでしょう。
 こうしてみると、今回のトランプ大統領訪日の意味を一番正確に把握しているのはインドといえそうです。
 ただ、北朝鮮や中国と本格的に戦争するにはいろいろと準備が足りません。アメリカ国内の親中派の排除、軍の整備などが整うまでは行動に移りにくいのです。ですから、今のところは、散々恫喝するという方針が継続されると考えられます。