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突出する安倍外交と対中包囲網の形成

 率直に言って、今回のトランプ歴訪は危ないかもと考えています。まず、イスラム国のテロが懸念されます。第二に、北朝鮮がどう行動するかがわからないことです。戦争に訴えることはなくとも暗殺を計画するぐらいのことはするのではと言う気がしています。中国に関しては、経済の行き詰まりを解消するためには、現在は大人しいトランプ大統領に協力をお願いしなければなりませんから、そうした危険は少ないでしょう。とすると、ベトナム、フィリピンの日程が危なそうですね。

 まあ、トランプ訪日前から外交交渉が慌ただしくなっています。今回はその話から。

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 まず、産経新聞からです。

 「30日に首相官邸で開かれた日比首脳会談は、予定時間を大幅に延長して行われた。フィリピンのドゥテルテ大統領は報道陣のいる場では原稿読みに徹して、代名詞でもある暴言の類いを一切封印。「私どものパートナーシップは試練を乗り越えたパートナーシップと言えるだろう」と述べるなど、日本との関係強化への意欲を前面に出した。

 「フィリピンは日本とともに戦略的パートナーシップの黄金時代を築いていく用意がある

 ドゥテルテ氏が会談冒頭でこう語ると、テーブルを挟んで正面に座った安倍首相は満足そうな表情を浮かべた。

 会談は最初の全体会合が55分、少人数会合は20分の予定だった。ところが、全体会合は約10分、少人数会合は50分近くもオーバーした北朝鮮や中国の問題で突っ込んだ議論をしたほか、ドゥテルテ氏が11月中旬に初会談するトランプ米大統領のことも話題になったとみられる。

 ドゥテルテ氏は夕食会の挨拶の途中で「おなかが空いてきた。原稿2ページを読み飛ばして最後のページにいく」と言って、会談に集中して空腹と時間を忘れていたことをにじませた。その上で「われわれの友情は公式のスピーチを超えている」などと「友情」の言葉を繰り返した。」

【日比首脳会談】ドゥテルテ氏「黄金時代築いていく用意ある」(1/2ページ) - 産経ニュース

 トランプ大統領もそうなのですが、ドゥテルテ大統領は基本的に正直な人なのですよね。今回の訪日も、トランプ大統領のフィリピン訪問に向けた準備であることはよくわかります。そのまえに、日本に対応の仕方を調整しにきたというのが本当のところでしょう。ですから、ドゥテルテ大統領は安倍首相と話したいことが山盛りだったはずです。ですから、少人数会合で50分オーバーになったのでしょう。

 フィリピンは、米中の間に挟まれて厳しい立場にあります。また、国内の世論の点でも反米色が強いことで知られています。ここで間違えると国家の存亡に関わることは毒照手大統領は良く理解しているのです。だから、表向きは「友情」を前面に押し出していますが、内心は必死なのだと思います。

 そしてその翌日には、トランプ・安倍の首相会談です。

「【ワシントン=加納宏幸】米ホワイトハウスは10月31日、トランプ大統領が5日からの訪日を前に安倍晋三首相との間で行った電話会談の内容を発表した。それによると、両首脳は10月30日の電話会談で「自由で開かれたインド洋・太平洋地域」を推進し、日米の緊密な協力によって国際社会とともに核・ミサイル開発を継続している北朝鮮に最大限の圧力をかけることの重要性を確認した。」

トランプ氏と安倍首相の日米首脳電話会談の内容を公表、「インド太平洋」の重要性確認 - 産経ニュース

 ここには挙げられていませんが、安倍首相の方からフィリピンのドゥテルテ大統領との会談の内容も伝えられているはずです。形の上では、フィリピンと米国を仲介したのが日本という形になっています。これだけを取って外交上の勝利とまでは言えないまでも、日本外交のリーチの長さが実証された形になっています。これは、外務省のお陰と言うよりは安倍首相の力量の反映と見るべきですが・・・。

 メディアの報道などを見る限りでは、北朝鮮問題が最大の課題であるように見えるかも知れませんが、実際にはやはり中国問題が焦点になっています。鍵は「インド洋」です。これは日米印の三カ国が今後の対中包囲網の基軸になるためです。このままの趨勢では、いずれ第三次世界大戦(様々な地域紛争の絡み合い)が発生すると考えられますが、今はそれに向けた第一歩というところでしょう。