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ニートよりは金持ちな北朝鮮 

 以前のエントリーでは、北朝鮮にはまだ開発されていない天然資源があることをお伝えしました。今回は、北朝鮮の内部で経済成長の芽が見られるという話です。

 2000年代から、北朝鮮は,中国とはまた違った形で市場経済化を進めており、昔の中国の万元戸のような金持ちが生まれています。

  「北朝鮮では、2003 年にそれまで非公式の存在であった農民市場が「総合市場」として公設化されて以来、国営企業による物資供給から独立した公式・非公式の市場(チャンマダン)を拠点とした経済活動が拡大し続けている。このような住民による商業活動の活性化により、北朝鮮に「トンジュ」(金主)と呼ばれる新興富裕層が形成され、その「トンジュ」が蓄積した多額の資金を投資することで北朝鮮における市場の経済活動はさらに多様化し、かつその規模を拡大させている
 北朝鮮では、おおよそ 1 万ドル以上の資産を保有する住民を「トンジュ」と呼称しており、「トンジュ」の数は最低でも数万人、最大で 20 万人を超えたとする説もある。最近では、30~40 代の若いトンジュが多く活動している。なかでも、数十万ドル~数百万ドルの資産を保有する「トンジュ」は、小売業・不動産・民間金融などを通じて資産を拡大させてきた。
 「トンジュ」の中には、賄賂や権力を利用した違法取引を活用して蓄財し、その資金を投資して資産を形成した党・行政機関幹部などの「権力型トンジュ」と称される人々もいる。計画経済の中枢にいる人々が市場経済の中枢に入り、双方が結託するという状況で、市場での利潤の一部が支配層の利益につながるという構造も存在しているのである。

 <建設・不動産>
 「トンジュ」は住宅建設にも資金を投資している。自らの資金を投資してセメントや鋼材、内装用の建築資材を国内外から調達し、その対価として完工したマンションの分譲を受ける。また、「トンジュ」が数人で資金を集めてマンションを 1 棟建設すれば、最低でも 30%以上の利潤が出るという。
 マンション 1 棟から「トンジュ」が得られる利益は 5,000 ドル~3 万ドルともいわれ、「トンジュ」1 人当たり最大で約 10 世帯分のマンションの分譲を受けることもあるという。ちなみに、2000 年代初頭における平壌市の高級マンション(3 部屋+ダイニング、キッチン、浴室、トイレ、ベランダ、倉庫)の価格は 5,000~7,000 ドルであったが、2016 年時点では 10 万ドル~20 万ドルにまで高騰しているという。

<運輸>
 「トンジュ」は中央機関と連携して運輸事業の権限を獲得し、一定の利益を上納するのと引き換えにバスによる運輸事業を行っている。このような個人によるバス事業は 2015 年頃から全国に広がり、現在ではバス 10 台程度を保有する規模の会社は全国で数十社~数百社に達するものとみられる。バスの車体は、3,000 ドル~4,000 ドルの中古バスを中国から輸入している。
 北朝鮮の主要都市には国営の運輸事業者が存在するが、保有するバスの老朽化や資金難により運営が困難な状況にある。そのため、当局は「トンジュ」が経営する運輸会社の参入をやむを得ず認めている面もある。ただし、利益確保を求める「トンジュ」の運輸会社参入により、地方都市間のバス料金は大幅に上昇したとする指摘もある。
 また、平壌市内で営業するタクシーについても、その半数以上が「トンジュ」の所
有であるという。
 「トンジュ」が国営企業に資金を貸し付けて現物で返済を受ける場合もある。例えば、ある小規模な肥料工場で設備購入のための資金が必要となり、その地域の「トンジュ」から資金を借り受け、工場で生産した肥料の現物で弁済したという事例がある。企業責任管理制の導入で経営での自律権が付与される中、事業のための運転資金が不足した企業が「トンジュ」から資金を調達するという現象が北朝鮮の企業活動において一般化しつつあるという。
 また、「トンジュ」は両替・貸付・預金・代金決済などの民間金融業者としての役割も果たしている。資金貸付に際しては月給や住宅への入舎証を担保として提出させ、貸出利子は、2,000 ドル未満は月 10%、それ以上の金額は 4~7%であるという。また、「トンジュ」が他の「トンジュ」に市中の利子より低利で緊急貸付を行うなど、「トンジュ」間での取引も行われている。
 このような金融業者を介した送金代行サービスも行われている。例えば、A 市の住民が B 市の住民に送金する場合、A 市の住民は A 市の金融業者に送金する金額を現金で渡す。現金を受け取った A 市の業者は B 市の業者に連絡し、B 市の業者は「サービス料」を差し引いた金額を B 市の住民に届けるのである。
 「トンジュ」は保有する資産の大部分を外貨(ドル・元)に換えて自宅に、あるいは家族と分担して保管している。北朝鮮の国営銀行に預金するのは「自殺行為」であるという。資金の一部は、中国など外国の銀行に口座を作って資金管理を行っているとされる。
 党・行政機関幹部などの「権力型トンジュ」ではない一般の「トンジュ」は、北朝鮮国内の治安機関や税関、党組織、軍などの様々な権力層に賄賂を渡して保身を図ってきた。これら機関の幹部も、「トンジュ」と結託して資金を引っ張ってくることが自らの能力を証明することにつながると考える傾向にあったが、近年、「トンジュ」に対する締め付けが強化されているとの指摘もある。特に中朝国境地帯での貿易活動を通じて外国との接触が多い「トンジュ」がスパイ容疑を受けて逮捕されたり、財産を没収される事例が増加しているという。
 また、北朝鮮政府は、国営の貿易会社・機関が「トンジュ」よりも有利に輸入品の販売を行えるよう、個人の業者による商取引や大規模な物流を取り締まっているという。そのため、多くの「トンジュ」が国営の貿易会社・機関の名義借りをして商売を行うようになったが、名義借りに必要な上納金は月 1 万元程度であるといい、このような締め付けも「トンジュ」の経済活動に影響を及ぼしている可能性がある。
 北朝鮮当局は、市場に対する規制を緩和して資金流通と国庫収入の増大を図るために「トンジュ」の活動を容認しているが、それはあくまでも計画経済に基づく北朝鮮の体制を維持するためであり、「トンジュ」の活動が国営の経済部門を大きく圧迫したり体制を弱体化させる方向に進み始めればこれに対する統制を強める可能性が高いと思われる。」

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/f0f8f157151bd739/20160134.pdf

 これはジェトロの一番最近の報告書ですが,貧困な北朝鮮という我々の通年を裏切るものである事がよくわかります。これで、アメリカとの国交さえ樹立できれば、大量に投入される外資北朝鮮は大きく経済成長を遂げることになるでしょう。
 しかし、そうはならないために戦争に向かいつつあるとも言えるのですが。