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北朝鮮を巡る小野寺防衛相の発言

 日本のメディアは、北朝鮮問題を正確に伝えているのでしょうか。日本の防衛相の対北朝鮮情報収集は、一定の水準に達していると思われます。ですから、防衛大臣の発言はそれなりに注目される必要があると思います。しかし、アメリカのメディアでは報道される重要な発言が日本のメディアでは報道されていないという印象があります。

 

 TheHillからです。
 「日本の防衛相は、月曜日に、北朝鮮の脅威は「前例のないもの」であり、「差し迫っている」と述べました。
 AP通信によれば、小野寺五典防衛大臣は、韓国の宋永武国防相とアメリカのマティス国防長官と協議を行う際に「異なる対応」を要求しました。
 小野寺防衛相のこの発言は、フィリピンでの議論において発せられたものでした。「北朝鮮は、核・ミサイル能力を着実に向上させています」と小野寺大臣は述べています。
 「北朝鮮が提示する脅威は前例のない、危機的かつ差し迫った水準にまで成長しました(The threat posed by North Korea has grown to the unprecedented, critical and imminent level.)」
 今回の会談は、トランプ大統領の来月のアジア歴訪に先だって開催されました。
 7月に,北朝鮮は大陸間弾道弾の発射実験を二回行いました。そして、先月にはICBMに搭載可能な水爆の開発に成功したと述べています。」

Japan: North Korea threat imminent | TheHill

 この記事の元はAP通信なのですが、日本の防衛相による北朝鮮の脅威の評価は、英語がわかる人が読めば、かなり厳しいものだと言うことがおわかりいただけるでしょう。にもかかわらず、日本のメディアはその点を報道しているとはいいがたいのです。
 たとえば時事通信を取りあげてみましょう。
「【クラーク時事】拡大東南アジア諸国連合ASEAN)国防相会議出席のため、フィリピン・クラークを訪問中の小野寺五典防衛相は23日、マティス米国防長官、韓国の宋永武国防相と3カ国防衛相会談を行った。3者は核・ミサイル開発を進める北朝鮮への圧力を高めるため、国際的な調整を強化するとともに、防衛当局として外交的努力を積極的に支援することで一致した。
 また3者は、北朝鮮が「3カ国だけでなく、世界にこれまでにない重大な脅威を構成している」との認識も共有した。
 これに先立ち、小野寺氏はマティス氏と2国間会談を実施。両氏は北朝鮮に目に見える形で圧力をかけ続けるとともに、緊密に連携することを確認した。
 小野寺氏は北朝鮮問題について「いかなる事態にも連携した対応を取れるよう、しっかり議論する必要がある」と強調。マティス氏は、日本防衛への強い決意を改めて示した。イージス艦などの運用面の連携を密にすることでも両者は一致した。 
 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが起こした炎上事故に関し、マティス氏が「飛行の安全にしっかり対応する」と言及。小野寺氏は安全な運用を求めた。
 小野寺氏は韓国の宋氏とも2国間会談を行い、人的交流や艦艇・航空機の相互訪問などの交流を着実に実施し、協力を進展させることで一致した。(2017/10/23-22:37)」

北朝鮮圧力で調整強化=日米韓防衛相が会談:時事ドットコム

 これが全文ですが、「unprecedented, critical and imminent level.」という文言の持つニュアンスは十分に表現されていないように感じます。自国の防衛相の発言として、はっきりと明記するべきではないでしょうか。時事通信に限らず、日本のメディアは、このような子供だましのような報道をいつまで続けるのでしょうか。これは日本にとって非常に不利な事態です。