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バノンの予言 カリフォルニアは米国から独立する

 前のエントリーにはもうすこし続きがあります。

  「バノンは、シリコンバレーとそのテクノロジーのドン達も批判しました。ハイテク企業の指導者達やカリフォルニア州進歩主義者は、あと10年から15年もすれば、アメリカから独立するだろうと予言しました。彼は、国家分断の脅威を「現在の問題(living problem)」と呼びました。
 彼はまた、長らく受難が続くカリフォルニアの共和党員を励まそうと試みました。カリフォルニア州では、トランプ大統領は400万票も落としました。そして、同州では、共和党は政治にはほとんど関わりがなくなりつつあるのです。今回の会議が開催されたオレンジ郡では、数名の共和党下院議員が、2016年のヒラリー・クリントンを支持した選挙区で当選しようと努力しています。
 「諸君が勝つために必要なものは全てもう手にしている」と彼は聴衆に述べました。
 彼は、スタンディングオベーションで演説を終えました。
 バノンは予備選での現職の共和党議員を落選させようとしています。しかし、カリフォルニアでは、共和党は凋落傾向にあります。
 もはや、カリフォルニア州共和党の墓場になってしまいました。共和党の支持者達はロナルド・レーガン大統領やリチャード・ニクソンの図書館を訪れることによってかつての栄光を思い出すことが出来ます。しかし、今日では、民主党がほとんど全ての州の施設を押さえ、大差で州議会とカリフォルニア州選出議員を抑えているのです。
 全ての共和党員がバノンを歓迎しているわけではありません。州議会の元指導者であったチャド・メイズは、保守派の扇動者がこのイベントに参加させるという決定に大きなショックを受けたとツイッターで述べています。
 「これは大きな後退だ。そして、共和党は全くの聾(つんぼ)であることが明らかになった」
 カリフォルニアの共和党員は,長年、政治的な中道から右派への方針転換を争ってきた。
 トランプをホワイトハウスにおくり込んだ連合は、保守派、リバータリアン、ポピュリスト、経済ナショナリストエバンジェリストを含み、彼らが団結するならば、数十年にわたって権力を握ることが出来るとバノンは論じました
「連合を組む智恵、強さ、そして頑固さを持っているならば、我々は50年から75年は支配できるだろう」と彼は語りました。
 20世紀の大部分の州知事共和党員でした。そして、各州の有権者共和党の大統領候補者がホワイトハウスに入る支援をしてきました。しかし、1990年代に、一連の移民を対象にした措置がとられるようになってから、共和党の幸運は消え去りました。移民が州の人口構成を分断してしまったためです
 2007年には、アーノルド・シュワルツネッガーは共和党員に共和党の人気がなくなっており、より幅広い有権者にアピールするために、政治的中道に向けた動きや気象変動に向けた取り組みが必要になると警告していました。2011年には、カリフォルニア州共和党委員会は、穏健派によるカリフォルニア州共和党の政策綱領に移民、中絶、銃規制、同性愛者の権利といった中道な政策の導入を阻止しました。
 その後も、趙楽は続きました。共和党は、多くのカリフォルニアの選挙区で少数派です。カリフォルニアの州議会で、投票数で民主党と無所属が共和党を3700万も上回っているのです。
 クレアモント・マッケンナ大学で政治学を教えているジャック・ピットニーは、今回の演説が2018年の議会選挙で影響を及ぼすかは疑問だと述べています。その声は大多数の有権者に届かないためです。
 バノンの政策は共和党を傷つけ、郡の選挙で重要な役割を果たすより豊かな教育を受けた有権者も傷つけるだろうと、ピットニーはより露骨に述べています。
 「バノンに乗ることは道徳的政治的失策である」とピットニーはメールで述べています。」

Bannon faults George W. Bush for 'destructive' presidency

 カリフォルニアで共和党が劣勢という話は知識としては知っていましたが,これほどまでとは思いませんでした。共和党のドナルド・レーガンが大統領に当選したときは、彼はカリフォルニアの知事を務めていました。それから40年近く経って、カリフォルニアでは共和党が絶滅寸前というのは、改めて驚きです。
 この記事にもあるように,背景にあるのは人口比の問題です。新たに増加する移民と従来のアメリカ市民のバランスが,カリフォルニアでは完全に逆転してしまったのです。そのために、従来のアメリカ市民が政治的発言権をなくしてしまったというのが、トランプ大統領を当選に導いた基本的な物語であるわけです。
 それに真っ向から対立するのがFANG(フェイスブック(FB)のF、アマゾン(AMZN)のA、ネットフリックス(NFLX)のN、グーグル(GOOGLE 現在は、アルファベット)のG)といった新たなネット企業なのです。ですから、こうした企業がトランプ大統領に反旗を翻すのは当然過ぎるほど当然なのです。
 それが、これらの企業のメキシコ進出につながっています。
「[サンフランシスコ/メキシコ市 17日 ロイター] - メキシコは、トランプ政権が掲げる強硬な反移民政策を逆手に取り、アマゾンやフェイスブックをはじめとする米国のテクノロジー企業の呼び込みに成功している。
 今年に入り、オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は、首都メキシコ市に技術開発部門のオフィスを新設。インターネット交流サイト(SNS)大手フェイスブック(FB.O)も、同地域での技術人材開発のため、現地グループと提携を結んだ。
 米ソフトウエア大手オラクル(ORCL.N)は、太平洋沿岸のメキシコ中部ハリスコ州でオフィスを拡大する計画で、大量の雇用が創出されるとみられている。現地当局が明らかにした。
 ハリスコ州の州都グアダラハラでは、年末までに10社が拠点を構える見込みで、さらに60社が進行中だと、新興企業の誘致を支援する団体は語る。多くの新興企業に人気のある、シェアオフィスを手掛ける米ウイワークは、昨年9月にメキシコ市に進出して以降、5カ所にオフィスを開設し、すでに6000人が働いているとしている。
 移民の米国流入を削減しようとするトランプ大統領の試みを受けて、中国やカナダといった国々は、従来であれば米国に向かっていたであろう技術者や新興企業の獲得に力を入れ始めている
 トランプ氏の反移民政策には、多くの米テクノロジー企業が外国からの専門性の高い外国人労働者を引き寄せるために頼りにしてきた一時就労ビザ「H─1B」の発給抑制も含まれている。
 メキシコには急がなければならない理由がほかにもある。
 メキシコ出身の移民60万人以上が現在、幼少時に親と不法入国した若者の在留を認める米移民救済制度「DACA」の庇護を受けているからだ。
 9月にトランプ政権がDACA撤廃を発表したことで、「ドリーマー」と呼ばれるこうした移民たちは今後、米国外に仕事を求めざるを得なくなる可能性がある。
 「十分に準備をしてきた人たちには、良いソフトランディングになるかもしれない。アメリカンドリームをメキシコで取り戻すチャンスとなる」。サンフランシスコのテクノロジー企業ワイズラインのビスマルク・レペ最高経営責任者(CEO)はそう語る。メキシコ市とグアダラハラにある同社オフィスには社員260人が働いている。
 ワイズラインは、強制送還に直面する可能性があるドリーマーたちに、米国に戻るのに必要なビザを取得するまでの1年間、メキシコで働ける仕事に応募するよう勧誘している。
 確かに、メキシコのテクノロジー産業にとって、果たしてその利点が十分に大きく、長続きするかどうかはまだ分からない。米議会でDACAを継続させる法案が通る可能性もあるため、ドリーマーたちの運命はいまだ定まっていない。」

焦点:メキシコ版シリコンバレー誕生か、トランプ氏の「壁」逆手に | ロイター


 海外の優秀な人材を是非ともつなぎ止めておきたいFANGとナショナリスト色を強めているトランプ政権との間の方向性の違いはもはや止めようがありません。そこに、カリフォルニアの独立という唐突もない予言が飛び出てきたのです。
 実際には独立する可能性は低いとみられますが、アメリカにおけるグローバリズムの終わりを物語っているようにも見えます。
 このグローバリズムの進展により最も利益を受けた国は、中国を置いて他にないでしょう。ですから、アメリカにおける反グローバリズムは反中国に成らざるを得ないのです。
 今後は中国に対するアメリカの圧力が増大することでしょう。