FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

劣勢に立たされる中国

 個人的な感触としては、北朝鮮問題はほぼ山を越えつつあります。あとは、ロシアがどう判断するかにかかっています。ロシアが北朝鮮を許さないという姿勢をとれば、それで金正恩はおしまい。たとえ、認めるといってもロシア以外の国際社会は金正恩北朝鮮を認めようとはしないでしょう。EU諸国の中にも北朝鮮問題にたいする反発が生まれています。

 その一方で、静かに再浮上しているのが中国問題です。今日はその問題を取り上げましょう。

「 ティラーソン国務長官は水曜日に、中国が世界秩序を破壊し不安定化させていると非難する一方で、インドとの協力を深めるという幅広い取り組みを大まかに述べました。
 外交問題を扱うシンクタンクであるCSIS戦略国際問題研究所)で、ティラーソン国務長官は、トランプ政権は、アジアの安定勢力としての「インドとの協力を劇的に深化させる決意」を固めたと述べました。
 その一方で,中国はこの地域並びに世界全体の安定性にとって脅威になっていると述べました。
 「インドと共に台頭している中国は、十分な責任を負おうとせず、しばしば国際的な、規則に則った秩序を弱体化させようとしている。インドのような国ですら他国の主権を擁護する枠組の中で活動しているにも関わらずだ。」とティラーソンは語りました。
 「アメリカは中国と建設的な関係を望んでいる。しかし、中国の規則に則った秩序に対する挑戦にひるむことはないだろう。そして、その世界の中で中国は近隣諸国の主権を覆し、アメリカやその同盟国を不利な立場に追い込んでいる。」とティラーソンは付け加えました。
 ティラーソンの今回の発言は、今回のインド訪問に先立つ瞬間になされました。そして、それと同時に中国では中国共産党党大会も開催されている時期になされたのです。
 ティラーソン国務長官の中国に対する発言は,トランプ大統領の中国に対するより暖かい発言とは著しいコントラストをなしています。トランプは選挙期間中は中国をこき下ろしていましたが、大統領就任後は中国に対して一貫してソフトな姿勢を取っています。そして、習近平との関係も高く評価しています。
 中国との協力は,北朝鮮の核ミサイル計画を抑止するためのトランプ大統領の努力の要に相当します。なぜなら、中国は北朝鮮の唯一の主要同盟国であり,最大の貿易相手国であるためです。
 ティラーソン国務長官は、インドの長年にわたる敵であるパキスタンも、この地域におけるアメリカのパートナーであることを認めました。しかし、ティラーソン国務長官の言葉は辛辣で、イスラマバードパキスタンで活動するテロ組織に対して早急に対応するべきだと強調しています。
 「我々はパキスタンが、パキスタンの国境沿いの地域に基盤を持つテロ組織に対して決定的な行動を取ることを期待する」と彼は述べました。「そうすることで、パキスタンは,自国と周辺諸国にとっての安定性と平和を手にいれ、国際的地位を高めるだろう」とティラーソン国務長官は語りました。」

Tillerson criticizes China in speech calling for stronger ties with India | TheHill

 このティラーソン発言を見れば、北朝鮮問題が終わった音のアメリカの主要な敵は中国ということになります。現在の中国に対するトランプ大統領の融和的な態度も,北朝鮮問題が解決するまでと見た方が良さそうです。

 これに対して中国はひたすら低姿勢です。

「【北京=東慶一郎】中国共産党中央対外連絡部(中連部)の郭業洲副部長は21日、第19回党大会に合わせ北京で開いた記者会見で、日中関係について「新たな好機に直面しているが、いくつかの課題も存在する。双方は好機をつかみ課題を取り除くべきだ」と述べ、関係改善に意欲を示した

 中連部は共産党中央委員会の直属機関で、党外交を担当する。日本の自民、公明両党との与党間交流も行っており、8月には宋濤部長らが日本を訪問している。

 安倍政権は、日中平和友好条約の締結から40周年となる2018年に両国首脳の相互訪問を目指している。郭氏は「民意の支持と人民の理解が必要だ」と述べ、実現には歴史問題などで日本側の努力が欠かせないとの認識を示した。」

 この5年間の習近平の対日外交が、ほとんど日本を相手にしない高圧的なものであったのに対し、「今後はあってやっても良い」と姿勢を軟化させています。

 習近平政権の掲げていた大目標として、日本をアメリカから奪い取り事実上の保護国にすることがあったのですが、情報を収集する内にそれは不可能であることが明らかにあんったと言うのが、2013年から14年にかけてでした。

 それ以降はひたすら国内の反対勢力を打破することだけに専念してきました。しかし、経済政策まで担当するようになったので、そしてなおかつ経済に関しては全く無知だったために、膨大な不良債権を生んでしまいました。これは、アメリカや日本の協力抜きには解決できません。これから、しばらくは、中国は大人しくなります。ただ、アメリカはといえば、対中強硬策を次々と打ち出すことになるでしょう。それが、ティラーソン発言の真意なのです。