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「確認しましたが、(金玉は)無事でした」とティラーソン語る

 「金玉が・・・」というのは、ボブ・コーカー上院議員の発言に対するものです。コーカー上院議員は、トランプ大統領がティラーソン国務長官をいじめすぎているという趣旨で「公の場で去勢」という言葉を用いたのですが、ティラーソンは、あっさりそれを否定しました。ここまでくれば、現段階でティラーソンの罷免も辞任もあり得ません。

Secretary Tillerson Participates in the UN Security Council Session on Nuclear Non-Proliferation in New York City

 

 


Thehill からです。
 「ティラーソン国務長官は、ボブ・コーカー上院議員の『トランプ大統領が国務長官を公の場で去勢しようとしている』と述べたことに対して反論しました。
 『ちゃんと調べましたけどね。(私の金玉)は無傷でしたよ』とCNNの番組ステート・オブ・ザ・ユニオンで語りました。
 国務長官はまた,トランプ大統領のことを「型にはまらない(unconventional)」大統領で、変化を促すためにやはり型にはまらない意思疎通の手段を用いていますと語りました。
 ワシントンに長くいる人は変化を好みません、とティラーソンは述べました。「ワシントンにいる人が絶対にしたくないのは、決定を下すことなのです」「なぜなら、決断を下せば、その決定に対して説明責任が生じるためです」
 トランプ大統領は、人々に変化するように促そうとしているのですとティラーソン国務長官は語りました。
 「ワシントンにいる人たちは,決断を下すことによって、深刻な問題に直面しなければならないとき、大変神経質になるか、腹を立てるのです」とティラーソンは語りました。「大統領は“非常にユニークな”スタイルでそれを実行しようとしているのです」と、ティラーソンは付け加えました。
 また、国務長官は全面的にトランプの目的に従っているとも述べました。(以下略)」

Tillerson on Corker’s castration comment: 'I checked, I'm fully intact' | TheHill

 そろそろ、トランプ大統領のコミュニケーションの手法の正体を把握しておかねばなりません。本音のところがどこにあるのかを知ることなく、ツイートに一喜一憂していてはならないのです。「確認しましたが、(金玉は)無事でした」というティラーソンの発言は、国務長官もまた、トランプの手法をようやく理解したことを示しているのです。
 トランプの手法の本質は、彼の友人でそのビジネススタイル上多大な影響を受けているヴィンス・マクマホンに求めることが出来るのです。ウィキペディアの人物欄には次のように記載されています。
「ビンスはプロレスラー並の長身と年齢不相応にビルドアップされた肉体の持ち主であり、自らが選手としてリングに上がることもある。基本的にはリング上でプロレスラーを引き立てることを原則としており、真っ向勝負でレスラー相手に勝利することはまずない。
 しかし、リング上で尻丸出しで打ち負かされる、おもちゃのピストルを向けられて失禁することもある。後述するアメフトリーグ「XFL」の失敗など、あまり触れられたくない事由も積極的に活用している。また、団体の最高権力者としてプロレスラーや観客を見下した演説を行い、時には「Mr. McMahon's Kiss My Ass Club(キス・マイ・アス・クラブ 日本語版の字幕では「ビンスのケツにキスする会」)」と称して、従わないレスラーに屈辱的な姿勢を強要し、観客を煽ることもある。それでも従わないレスラーには、「You're Fired!(貴様はクビだ!)」の決め台詞が待っている。
プロレスラー活動を盛んに行っている時期はヒールとして、コミッショナー活動のみの時期はベビーフェイスとして番組に登場することが多い。」
 「You're Fired!(貴様はクビだ!)」というトランプの台詞は、ヴィンスが初めだったのです。みずからヒールの役を買って出る、自分の屈辱もあえてネタにする。悪のオーナーを自称しており、ブラック企業のオーナーをあえて演じて見せているのです。
 これは、トランプの政治スタイルと非常に似通っているとは思いませんか。トランプ本人はともかく、ヴィンス・マクマホンは精神的な意味でタフな人物なのです。あえて逆説を提示することで、大衆の気持ちを摑むのが非常に得意なのです。
 実際に、リングの上で家族同士で殴り合うこともあるのです。それでも、最後には家族総出でご挨拶をしてうまくまとめるのです。これは2016年の大統領選挙運動中のトランプ候補の姿と重なります。その意味で、ティラーソンの言うようにトランプ大統領はunconventionalなのです。
 ですから、この手法に対してコーカー議員のように正攻法で批判することは、かえって逆効果になります。これが、民主党がトランプ大統領を突き崩せなかった最大の理由なのです。
 しかし、現在のトランプ大統領を見ていて感じるのは、トランプ大統領本人のストレスがたまっているということ、そして、何より重要なのが、自然災害が重なっていることです。ハリケーンの被害だけでなく、カリフォルニアの山火事も、政権運営には相当の負担になっていると見られます。
 したがって、トランプ大統領を倒すことが出来るのは、極度の自然災害ということになりそうです。