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また、スイス、ですか?

 以前、北朝鮮と日本の交渉の仲介を行ったのがスイスだったというエントリーを立てたことがあります。またしても、「スイスですか」という話です。

 とにかく、スイスは底知れない国というイメージがますます強まりました。写真で見る限り、これほど美しい国もないのに、そのギャップには改めて驚かされます。(下の写真はチューリッヒです)

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 ロイターからお伝えします。

「[ソウル 12日 ロイター] - 北朝鮮で2009年に発表されたある曲のプロモーションビデオは、新しい国民的ヒーローをたたえる内容だった。のちに、それが謎に包まれた同国のミサイル・核プログラムの中心的存在であったことが、外部の専門家の知るところとなる。

 そのヒーローとは、世界各地の工場で広く使われているコンピューター数値制御(CNC)装置である。

 グレーで巨大な箱の様な形のCNC装置は、事前にプログラム化された数値情報に従い、自動車や携帯電話から家具や衣服に至るまで、あらゆるものの複雑な部品を製造するのに使われている。工作機械を操作する人間のオペレーターでは成し得ない精度が特徴だ。

  北朝鮮では、国産技術とリバース・エンジニアリング(分解と解析)の組み合わせの成果で、こうした装置が今では兵器開発において極めて重要な役割を担うようになっている。これらの装置が、他国の技術支援や輸入に大きく依存せずに、金正恩キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長が核爆弾とミサイル開発を推し進めることを可能にしている。

 精密機器の取引を禁じる国際制裁を科されているにもかかわらず、CNC装置が、正恩氏のミサイル・核実験を加速させることに寄与していると、核兵器の専門家は指摘する。

 「北朝鮮の遠心分離器や新型ミサイルは全て、CNCを使った工作機械によって作られた部品に依存している」と、米ミドルベリー国際大学モントレー校東アジア不拡散プログラムディレクターのジェフリー・ルイス氏は指摘。「ミサイルと核兵器の製造において、欠かせない基礎技術となっている」

 1996年以降、CNC装置は、軍事目的に転用可能な民間装置などの拡散防止を目的とした国際的な管理体制「ワッセナー・アレンジメント」に含まれている。北朝鮮はこの枠組みに参加していない。

 CNC技術に対する北朝鮮の称賛ぶりは度を超している。2010年の朝鮮労働党創建65周年の式典では、オレンジと緑の蛍光色をまとった何百人ものダンサーたちがCNCをたたえる曲「突破せよ、最先端を」に合わせ、パフォーマンスを行った。

 シンガポール北朝鮮人向けにビジネス研修を行っている「チョソン・エクスチェンジ」によると、韓国で大ヒットした「江南(カンナム)スタイル」がリリースされた2012年、北朝鮮ではCNCの曲が全国のカラオケマシーンに入れられたという。同曲の公式ビデオは、青空に向かって上昇する北朝鮮の長距離ミサイルの映像で始まっている。

<最先端>

 北朝鮮が高性能なミサイル・核兵器開発の一環として独自にCNC装置を開発し始めたのは1990年代初めとみられると、核専門家は指摘する。旧ソ連から輸入した装置を分解し、製造方法を学んだとみられる。

 国産のCNC装置が初めて登場したのは1995年労働党機関紙「労働新聞」に2009年に掲載された記事によると、当時の最高指導者であった正恩氏の父親金正日(ジョンイル)総書記が同装置に「蓮河」というブランド名を与えた。国営メディアがCNCの技術に言及したのはこのときが初めてだった。

 北朝鮮政府が国内産業を押し上げる全国キャンペーンを行うなか、CNC装置は2009年までにプロパガンダの主力となっていた。同年に2回目となる核実験と長距離ミサイル発射実験を実施後、制裁は強化された。

 当時、CNC装置を使ってアルミニウム管を製造していたと思われる国内工場を正日氏が視察したことについて、軍縮専門家は懸念を示していた。アルミニウム管は核開発の遠心分離器に使用されかねないからだ。

 「2010年ごろまでには、さまざまなタイプのCNC装置を製造する能力があったようだ」と、韓国に亡命するまで北朝鮮の首都、平壌にあるコンピューター技術大学で教壇に立っていた金恆光氏は言う。

 だが、CNC装置を製造する朝鮮蓮河機械合営会社が、兵器開発を支援しているとして国連安全保障理事会の制裁リストに加えられたのは2013年だった。

 そして、北朝鮮が独自にミサイルエンジンを製造する能力がある可能性が高いと米情報当局者がロイターに語ったのは、ついこの8月である。

 金恆光氏は現在、北朝鮮が約1万5000機のCNC装置を所有していると推定する。同氏の試算は、北朝鮮国営メディアの報道や写真のほか、科学者や教授や工場作業員だった10人以上の脱北者へのインタビューに基づいている。

<大量生産>

 北朝鮮政府は国産CNC装置について、自主性を唱える主体(チュチェ)思想の勝利とたたえたが、厳密にはそれは正しくない。

 2016年8月、国営メディアは、スイスの重電大手ABBのロゴが入ったCNC装置を使用する工場を視察する正恩氏の写真を配信した。世界のCNC市場において、ABBは最大手の1つである。同社の装置がいつ、どのように北朝鮮に渡ったのかは定かではない。

 ABBは、同社が北朝鮮に対する貿易制裁を全面的に順守しており、自社の装置が同国に渡らないようにしているとしたうえで、「それでも、自社製品の一部がわれわれのあずかり知らぬところで許可なく北朝鮮に転売されていた可能性は排除できない」と、ロイターの問い合わせに回答した。

 国連安保理北朝鮮制裁委員会が今年発表した報告書によると、中国の「滕州市科永達數控機床有限公司」が、北朝鮮の新たなCNCサプライヤーとなっていた。同社の営業担当者はロイターに対し、北朝鮮への販売は4年前に中止しており、現在は取引関係にないと述べた。

 制裁下にあるにもかかわらず、CNC装置は北朝鮮内の製造拠点の至るところにあり、中国やロシア経由で持ち込まれた可能性があると、韓国科学技術政策研究院の李春根(イ・チュングン)先任研究委員は指摘する。

 最大の抜け道は、一部のCNC装置は軍民両用で利用できる機能があるため禁止されているものの、大半の装置は民需産業で利用できることだ。

 「軍民両用が可能であることを考えると、他の目的で装置を輸入し、それを分解して利用することも可能だろう」との見方を李氏は示した。

 CNCの歌はこのことを出だしのフレーズで強調している。

 「それが何であろうと、全力で取り組めば、作れるプログラムはある」」

焦点:北朝鮮が自賛する「国産装置」、兵器開発の立役者に | ロイター

 スイスの重電大手ABBに関しては、恐らく,昔の東芝機械のようなことはしていないと考えられます。それでも、金正恩兄姉の留学先もスイス、そして、日本との仲介に出てきたのもスイスと考えると、スイスと北朝鮮の間には何らかのネットワークがあるのではないかと考えざるを得ないのではないでしょうか。

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