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「戦争の導火線、トランプ氏が点火」という発言

 北朝鮮問題を考える際には、2つの視点が重要です。それは、「北朝鮮の発言」と「北朝鮮の行動」です。この二つを厳密に分けて考えなければ、正確な分析はできないでしょう。

 ロイターを引用します。

「[モスクワ 11日 ロイター] - 北朝鮮の李容浩外相は、トランプ米大統領北朝鮮との「戦争の導火線に火をつけた」とし、米国は「砲火」を浴びせられるとけん制した。ロシアのタス通信が11日報じた。

 李外相は、北朝鮮の核プログラムは同地域の平和と安全を保証するもので、協議する問題ではないと強調。同時に「トランプ氏が国連で行った好戦的かつ常軌を逸した発言は、北朝鮮に対する戦争の導火線に火をつけたと言えるだろう」とし、「われわれは言葉ではなく、砲火を浴びせることによってとどめを刺す必要がある」と語った。

 同外相は以前にもトランプ氏を「悪の大統領」と呼んだ経緯があり、今回の発言を受けてトランプ大統領と北朝鮮の最高指導者、金正恩氏の言葉の応酬がエスカレートする公算が大きい。

 李氏はまた、「米国との力の均衡を実現するという究極の目標の最終地点に到達しつつある」とし、「われわれの核兵器を議題とするいかなる協議にも応じないというのがわれわれの基本姿勢だ」と強調した。」

戦争の導火線、トランプ氏が点火ー北朝鮮外相=タス通信 | ロイター

 「われわれは言葉ではなく、砲火を浴びせることによってとどめを刺す必要がある」とは言うものの、これですら「言葉」であるわけです。

 父親金正日との違いは、父親が「言葉」の上では非常に過激な発言を繰り返しなあらも、「行動」の面では、核開発を進めながらも非常に抑制的で、一時は日本との関係修復も考えたほど柔軟であったという点です。

 金正恩は、「言葉」を発すると、そのまま「実行」してしまうという危険性が目につきます。

 それに輪をかけているのが、父親の戦術であった「言葉」での争いという戦略を、あろうことかアメリカ大統領が採用してしまったということです。これで、北朝鮮はすっかりペースを乱してしまったのだと考えられます。

 国連総会で、アメリカの現役の大統領に厳しく批判され、国連安保理の制裁決議が2回も全会一致で可決されたという「事実」を考慮すれば、現在、北朝鮮が「外交」に敗北しつつあることは明白でしょう。

 この「敗北」を打破するには、これまでのようにミサイル実験や核実験を繰り返すことは、かえって逆効果になるということを金正恩が自覚できるかどうかにかかっています。

 おそらくは、ロシアもこれ以上の挑発行為は抑制しているはずであり、状況が短期間に劇的に悪化するという可能性は減少しているとみられます。