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王岐山が去るのか、残るのか、それが問題だ。

 いよいよ、来週には中国共産党党大会です。そこで注目され得ているのが、王岐山の去就です。彼の残留にはどのような意味があるのでしょうか。

  ブルームバーグから紹介します。

「 中国共産党序列第6位の王岐山は、68歳以下は引退するという中国共産党の内規により、共産党中央常任委員から引退するとみられている。しかし、中国のアナリストが指摘するのは王岐山が残留する可能性である。69歳の王岐山が残留すれば、現在64歳の習近平が5年後に年齢制限をこえて中央委員にとどまる可能性が生まれるためである。
 今回の習近平の決定は、ほかの人事や党規約の改正とならんで、何十年にもわたって引き継がれてきた年長者の権力の委譲というシステムから、習近平の権威をより強化する個人指導型のモデルに変更するのか否かを示すことになる。党の規約によって縛られないということは、政策決定がより予想できなくなるということでもある。しかし、その一方で習近平がより大規模な経済改革を推進する助けともなるだろう。
 「習近平は国家の指導者として前例のない成功をとげました」とハーバード大学アジアセンター上級フェローのウィリアム・オーバーホルトは語っている。「経済の将来にとって決定的な改革を実行できる能力に関しては明確さに欠けます。短期的には、この地位の問題は、マーケットに圧倒的な影響を与えるでしょう。長期的には、習近平が成し遂げたことが、決定的なものになるだろう」
 習近平は、前任者が後継者に権力を継承する準備を始めたのと同じ時期にある。10月18日から開催される党大会を習近平がどう運営するのかによって、彼が今後権力を放棄するのか、形式的な指導権を維持するのか、これから5年間も実質的な指導者であり続けるのかが示されることになる。
 中国共産党中央委員会は、水曜日に来週の党大会に向けた準備を完了させるために会合を開いた。
 この党大会によって、習近平は、指導層の約半数を入れ替えるチャンスを手にする。その中には7名の中央常任委員の内、定年で去る5名が含まれる。王岐山には注目が集まる。彼は、毛沢東文化大革命の時代に農村部に下放されていたころからの習近平の知己なのである。
 習近平が2012年に権力を握ったとき、王岐山を反腐敗運動の担当に選んだ。党大会の事前の準備では、習近平王岐山を中央規律検査委員会の長としてとどめるのではないか、もしくはより高い地位に昇進させるのではないかと分析するものもいる。
 王岐山が閣内に残ることで、投資家は安心するかもしれない。というのも、彼は中国でも最もよく知られた経済改革家であるためだ。彼は、1990年代にモルガン・スタンレーとともに中国発の投資銀行を創設している。それ以降、ハンク・ポールソンといったウォール街の著名人と深い関係を築いている。(中略)
 王岐山が去るにせよ、とどまるにせよ、習近平は中国最強の指導者としての地位を強化すると見られる。先月の中国共産党の発表によれば、今回の党大会では憲法が改正され、過去五年間の「主要理論と戦略思想」が含められることになっている。この中に習近平の名前が入れられるかが憶測を呼んでいる。これは、毛沢東いらいどの指導者もなしえなかったことだからだ。
 習近平の意思を示すほかの手がかりには、習近平がはっきりとした後継者を指名し、同盟者として常任委員に指名するかという点も含まれている。憲法の制限により、習近平は2期までしか首席のポストを維持できないが、習近平の党の指導者、そして軍の指導者という立場には期限がない。
 「主な問題は、権力の移行がどの程度行われるのか、そして年齢制限が撤廃されるのかだ」と述べるのは、コントロール・リスク社の中国北アジア担当のアンドリュー・ギルホーンである。「1件か2件の基準の逸脱ならば驚くに値しない。しかし、露骨に、政治局常任委員会と政治局に習近平のお気に入りをねじ込むようであれば、議論を巻き起こすだろう」」

One Man’s Future May Foreshadow Xi’s Plans to Retain Power - Bloomberg

 王岐山が、ポールソンと懇意であったというのは知りませんでした。王岐山が政権内部にとどまれば、米中の経済関係も現序のまま維持される、というか維持することを中国側が望んでいるサインともなるわけですね。

 肝心の習近平の後継者に関しては、反腐敗運動で、手下の三下のような人材しか残っていません。一定の能力を持つ(自分の意向を反映してくれるような)後継者を確保できるかどうかは、現在のところ難しいのではないかと考えられます。