在トルコ米大使館が8日、ビザ発給業務の停止を発表した声明を出してから数時間後、トルコのエルドアン政権も同様の措置に踏み切った。双方は共に、「最近の出来事」によって在外公館および職員の安全に対する「責任の見直し」を行わざるを得なくなったと説明している。

 今月4日、在イスタンブール米総領事館のトルコ人職員が2016年のクーデター未遂に関与したとしてトルコ当局に逮捕され、米大使館は5日、職員に対する容疑は「全く根拠がない」との声明を発表した。トルコと一部欧米諸国の関係はクーデター未遂事件後に悪化。エルドアン大統領は米国に滞在するイスラム教指導者のギュレン師が事件を企てたと主張。米国が身柄の引き渡しに応じないため、エルドアン大統領はいら立ちを強めている。

 トルコ・リラは9日のシンガポール市場で午前7時15分(日本時間同8時15分)現在、前週末6日の終値に比べて2.7%安の1ドル=3.7130リラ。一時は3.8533リラを付けた。リラは16年5月以来の長期下落局面に向かっている。」

U.S., Turkey Halt Visitor Visas as Diplomatic Spat Escalates - Bloomberg

 この数カ月、エルドアン大統領はロシア、イランとの関係強化に尽力しています。その一方で、アメリカとの関係は悪化しています。それは、ワシントンがクルド人勢力に武器を供給すると決定したためです。しかし、クルド人勢力はテロリストであると主張しており、ますます関係悪化に向かう見込みです。

 中東における、ロシア、イラン、トルコの事実上の同名の成立は、サウジアラビアを中心とする湾岸の産油国、それにイスラエルにプレッシャーとなることでしょう。その一方で、仲裁者としての顔も持つロシアのプーチン大統領の影響力がさらに拡大することにもなるでしょう。

 まあ、FXのネタとしてトルコ・リラはしばらく危険でしょう。