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水爆に傷心・・・ガラスのハートの金正恩

 最近の北朝鮮情勢を簡単に振り返ってみました。その結果、アメリカは極めて冷静に、かつ合理的に対応しているのですが、金正恩率いる北朝鮮は、すっかりトランプ大統領のレトリックに圧倒されていることがわかります。痛いのは、金正恩が傷つきやすい性格だったと言うことでしょうか。

 

 いくつかの状況を項目ごとに整理してみました。
1.アメリカは北朝鮮に宣戦布告を行っていない。
 ホワイトハウスのスポークスウーマンであるサラ・サンダースは、「我々は北朝鮮に宣戦布告を行っていない」と語っている。「そして、率直に言ってこの暗示はばかげている。我々は朝鮮半島の平和的な非核化を求め続けることだろう。」
 この発言からもわかるように、アメリカ政府は現段階では、国連決議による制裁の効果を検証するものとみられます。

2.ホワイトハウスによる第二次朝鮮戦争の想定
 軍のアナリストは、米朝間のいかなる紛争も、北朝鮮による首都ソウルの爆撃という危険を導くことになると述べています。
 「問題を解決するのに精密爆撃はあり得ない」と軍の中将でもあるマクマスターは語っています。マクマスターは、戦争研究所によって主催されたイベントで「問題を解決することができる軍事的包囲網などない。我々が望むのは戦争の回避である。しかし、我々はその可能性を過小評価することはできない」と述べてもいます。
 マクマスターは、北朝鮮の地下に設けられた核計画施設が米軍の攻撃にどれほど脆弱化という問題には触れていません。この問題は、イラン核開発計画を停止するために締結された2015年の枠組合意の際にも、検討された問題でした。
 マクマスターは、あらゆる軍事的オプションは、韓国の市民を危険にさらす北朝鮮対応を想定していることを認めています。そして、そのことが「常に我々の頭の中にある」とも付け加えてもいます。この危険は、「我々の計画、机上研究において考慮に入れられているのは確かだ」とマクマスターも付け加えています。
 結局の所、アメリカには外交的手段しか有効な措置はとれないと認めているのです。

3.アメリカの国家意思
 具体的な作戦として北朝鮮における戦争の再開はアメリカ政府も十分に検討しています。しかし、北の核が世界に拡散する事態は何としても避けたいというのがトランプ大統領の意図なのです。そのために、戦争には到らないがその寸前の措置は何度も繰り返されることになります。それが23日のB-1B爆撃機北朝鮮周辺までの飛行でした。

4.北朝鮮の未熟な反応
 北朝鮮は、2度にわたる国連制裁に、さらなる兵器の実証実験で応えました。その中には、現在確認されている中で最大の核実験も含まれています。9月初旬のこの核実験の結果、マグニチュード6.3の地震を引き起こしています。
 トランプ大統領は、9月19日の国連総会演説において、北朝鮮がアメリカとその同盟国を攻撃するならば、北朝鮮を「完全に破壊する」と恐喝しました。その数日前に、トランプ大統領は、金正恩を「ロケットマンは、自らと自国の自殺ミッションの過程にある」とツイッターで記し、あざけってもいました。
 リ北朝鮮外相は、先週国連演説において「北朝鮮核兵器を所有せねばならない理由は、アメリカだ」と述べています。北朝鮮の国営メディアも、土曜日に、朝鮮国家平和委員会の声明を発表し、トランプを「邪悪」で、「猛犬」と呼んでいます。
 しかし、トランプ大統領の国連演説を、文字通り「宣戦布告」と取ってしまうセンスはあまりにナイーブであると言えるでしょう。まさに、ガラスのハートの金正恩といったところですね。従って、北朝鮮情勢が大きく崩れるとすれば、冷静なアメリカ政府からではなく、狼狽した北朝鮮政府の何らかの行動がきっかけになると思われます。