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9月23日のB1の北朝鮮周辺への飛行からトランプ政権の意思を占う

 以前から、B1による北朝鮮周辺への飛行は行われていましたが、今回はどうもいろいろ異なるようです。そこから、トランプ政権の意思も垣間見ることができます。

 

  まず、B1とはどのような軍用機なのでしょうか。本論に入る前に、少し説明しておきましょう。
 B-1とは、B-52の後継機として1965年にスタートしたAMSA(次期有人戦略機)計画により実現したロックウェル社開発の、アメリカ空軍、可変翼(VG翼)戦略爆撃機のことです。
 B-1は当初B-1Aとして超音速で敵領空内に低空侵入する長距離戦略核爆撃機として開発されましたが、現在は、緊急近接航空支援という以前とはまったく別の任務を担うB-1Bが配備されています。B-1Aは試作機として4期だけが製造され、現在は、B-1Bが100基配属されています。
 B-1Bは、超低空侵攻による核/通常攻撃、通常の戦略爆撃巡航ミサイルプラットホーム、などの任務をこなすため、地形追随レーダーや、赤外線監視装置、ドップラー・レーダー、ECMシステムなど、充実した電子機器を搭載しています。ただし、第二次戦略兵器削減条約(START II)の対象となったため、1994年に核攻撃任務から外され、現在配備の機体はすべて核兵器搭載能力がないのが特徴です。(ウィキペディアより)
 ここで重要なのは、現在のB-1Bには「核兵器搭載能力がない」という点でしょう。ですから、今回の飛行も「核攻撃を前提としたものではない」といえそうです。

 そこで、23日のB-1Bの飛行ですが、今回の特徴は以下の通りです。
(1)21世紀に入って非武装地帯(DMZ)の最北部にまで飛行したこと。
(2)これまでの飛行とは異なり、夜間に行われたこと。
(3)同盟国の機体は支援に回らなかったこと。これまでは通例、韓国空軍か航空自衛隊が援護していました。
(4)今回は米空軍の単独行動だったこと。海兵隊にはF35BというSTOVL 機があるのですが、それは今回は加わりませんでした。

https://theaviationist.com/?p=43997

 これらの状況を整理すれば、今回のB-1の北朝鮮周辺の飛行も抑制されたものであったことがわかります。「核兵器搭載能力がない」機体ではあったものの、「夜間」に行われ、「米軍の単独飛行」であったというところがミソなのでしょう。現段階では、核攻撃を行う意思はないが、いざとなれば、単独でも北朝鮮を攻撃するという意思だけを体現した飛行であったと言えます。
 こうした事情を勘案すれば、まだ数週間は米軍による北朝鮮の先制攻撃はなさそうといえるのではないでしょうか。