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第二次朝鮮戦争の帰結から北朝鮮の勝利条件を逆算する(3)

 いよいよ結論です。北朝鮮勝利条件が実は実現不可能であったという話です。

 

 前回はパキスタン、インドの核開発の話を紹介しましたが、どうも北朝鮮には核を保有したままアメリカと国交を結ぶことは不可能なようです。仮に北朝鮮が核を保有したまま国際社会に復帰できれば、国内の資源開発でかなりの経済成長が見込めます。スイスが介入した動機も、そしてドイツが狙っているのもその可能性です。
 しかし、結論から言えばその可能性は極めて低いのです。その理由は北朝鮮情勢と中東の情勢が密接に関連している点にあります。しばしば指摘されることですが、北朝鮮とイランの関係が問題になるのです。現在中東では、イラク戦と、シリアの内戦を経て、ロシアの支持を受けたイランが勢力を拡大中です。イスラム国騒動にしても、結局、イランの勢力拡大にしかつながらなかったのです。
 技術力の点では、北朝鮮がイランの上位互換となっています。トンネルの建設方法などは2010年から北朝鮮の指導が始まっています。今回中距離弾道ミサイルが完成したことで、イランがそのミサイルを入手する、もしくはその製造技術を入手することになれば、中東の地政学的バランスは一変します。
 中東におけるイランの最大の敵は、イスラエルです。ここで思い出していただきたいのですが、トランプ大統領の娘イヴァンカの女婿は、ジャレッド・クシュナーという正統派ユダヤ教徒です。そして、トランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と会談する際にも、イスラエルの米国大使と共に臨席していたのがこのクシュナーなのです。オバマ政権時とは異なり、今回のトランプ政権はイスラエルとの関係が密接なのです。トランプ大統領がオバマ政権の下で実現したイランとの核合意を破棄したがっているのもそのせいです。トランプ大統領の頭の中には常にイスラエルの防衛があるのです。
 そんなトランプ大統領がイスラエルに不利な行動を取るはずもありません。これが、米朝和解があり得ない最大の理由なのです。

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