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トルコ NATOと決裂か

 うっかり見落としていました。中東の、そしてヨーロッパの運命にも大きな意味を持つ決定です。

 

 トルコとロシア間の関係強化、西側諸国との亀裂の拡大により、NATOの今後に暗雲がかかっています。このところ、トルコと米国の関係はこの10年間で最悪になっています。その結果、トルコはNATOから離脱し(まだ離脱はしていない)、ロシア製防空システムを購入すること検討しています。
 しかし、問題があります。2018年にF-35ステルス戦闘機100機のうち最初の機体を取得して技術を共有する予定であるためです。防空システムがロシア製で、保有する戦闘機が米国製というのは果たして両立するのでしょうか。技術漏洩の可能性はないのでしょうか。これでは、トルコを信頼出来ないということになりそうです。
 最終的な決定はまだ下されていないとはいえ、この協議はプーチンエルドアンの会談で議論されています。進めば一気に、トルコのNATO離脱にまで行き着くでしょう。
 世界地図をごらんになって欲しいのですが、トルコがロシアに与した場合、東欧の情勢は現在以上に緊迫化します。また、中東におけるロシアのプレゼンスもこれまでとは比較にならないほど大きくなるでしょう。
 今回のトルコの動きの背景に関して2つ付け加えるならば、一つはドイツとの関係悪化があります。近年まではドイツとトルコはほとんど蜜月だったのですが、シリア難民の流入による国内治安の悪化をうけて、メルケル首相はトルコのEU加盟を渋るようになりました。これが、一つの要因です。
 もう一つは、クルド人問題です。現在のトルコ国内にもクルド人が多数生活しており、クルド人自治区がシリアなりイラクなりに形成されると厄介なことになります。トルコにも自治区を、という流れになるためです。そのためにエルドアンは徹底的にクルド人を弾圧してきました。
 この防空システムの購入が本決まりになれば、トルコがロシアと同盟関係に入ることになるでしょう。そして東欧諸国はロシアの脅威にさらされ続けます。意外に早く第三次世界大戦となるかも知れません。

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