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北朝鮮問題 スイスという補助線

 スイスと言えば、「アルプスのハイジ」ですね。

 しかし、実際にはなかなかしたたかな国家でも有ります。ここで、北朝鮮に関して気になるニュースが入ってきました。

 少し短いですが、時事通信の報道を紹介しましょう。
「制裁決議順守を直接要求=日朝当局者、スイスで会談
 外務省の鯰博行アジア大洋州局参事官は12日、北朝鮮のチェ・ガンイル外務省北米担当副局長とスイスで短時間会談した。鯰氏は、核実験や弾道ミサイル発射など北朝鮮の挑発行動について厳重に抗議し、国連安全保障理事会決議を順守するよう強く要求。日本人拉致被害者の早期帰国も求めた。日本外務省が13日、発表した。
 日本側は、チェ氏の反応については明らかにしていない。両氏は、スイス外務省と民間シンクタンクジュネーブ安全保障政策研究所」共催の北東アジア情勢に関する国際会議の機会を利用して接触した。(2017/09/13-21:10)」

制裁決議順守を直接要求=日朝当局者、スイスで会談:時事ドットコム

 先のエントリーでも述べたように、北朝鮮が交渉のサインを送っていることは事実でしょう。個々で注目すべきなのは、日本と朝鮮の仲介にスイスが名乗りを上げているという事実なのです。今回の報道も「スイス外務省と民間シンクタンク」共催の国際会議上でということですが、これは事実上スイス政府が仲介したと見なしても良いでしょう。今回のスイス政府による仲介は、メルケル首相の北朝鮮問題の平和解決を求める姿勢と同じ臭いを感じます。
 スイスと言えば資源大手のグレンコアがあります。昨年の資源価格下落の時には、倒産すら囁かれました。現在は、資源価格が上昇したことで持ち直しましたが、こうした国内の大企業への配慮もにじみ出ているといって良いでしょう。大韓商工会議所が2007年に出した報告書によれば、マグネサイト、タングステンモリブデン黒鉛蛍石など7種類の鉱物の埋蔵量が世界トップ10に入るとされています。また、以前のエントリーでお伝えした通り、北朝鮮には原油すら埋蔵されているのです。スイスが仲介に乗り出した背景には自国の利益も含まれているというべきでしょう。

 これを北朝鮮の側から見れば、スイスという後ろ盾を得たということになり、交渉は行われても長引くということになりそうです。