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アメリカの税制改革は進展か

 このところのホワイトハウスの動きで最も顕著なものは、従来反目していた民主党との妥協、融和姿勢が明確になってきたことです。
 その傾向は、ハリケーン・ハービーと予算限度を3か月猶予するという民主党との妥協が成立したことでしょう。トランプ大統領もいい加減で、オバマケアの撤廃などしなければよかったとぼやいているという話も伝わっています。
 いずれにせよ、目先は災害の復興と減税案に移っているのです。
 実際、先週金曜日のホワイトハウスにおけるサラハッカービーサンダーズ報道官によるコメントは、民主党に減税案に積極的に参加することを求めていました。「大統領は、法律を制定する決意を固めています。トランプ大統領は、議会に行動することを求めています。そして、民主党もそこに参加することを喜んでいるのです」とサンダーズ氏は発表しています。
 実際、民主党サイドでも、現行の税法が複雑すぎるため、改革が必要であり、この問題について共和党と協力したいと考えています。
 両党の議員は、課税コードを簡素化し、中産階級のための減税措置を実施したいと考えているのです。また、多くの共和党議員は、赤字を増やさない限り、共和党が強く求める法人税率の引き下げにも同意する構えです。
 ただ、共和党幹部とホワイトハウスは、減税法案の中に、富裕層への減税、不動産税の廃止、州と地方税の控除の廃止など、民主党が反対する可能性のある要素をいくつか含める予定なので、スムーズに議論が進むとは言えないかも知れません。
「下院歳入委員会の共和党議員は、民主党の意見を積極的に求めている。私たちは超党派のプロセスを取ることが望ましい」とピーター・ロスカム共和党下院議員(共和党イリノイ州選出)は述べています。歳入委員会税務政策小委員会を率いるロスカム議員は、「民主党が越えねばならないハードルは、共和党が、我々が提案しているのと同じ方法で経済的な成長を追求するかどうかということだ。もしそうなら、私たちは一緒に働くことができると確信している」と付け加えました。
 後は、減税案の詳細が問題になります。減税率をどの程度に抑えるのか、そして減税による税収の減少をどのように穴埋めするかが、次の焦点になるでしょう。
 ただ、民主党との対決的な姿勢が弱まっており、相次ぐハリケーンによる被害への対応を迫られていることから、これまでよりはトランプ大統領と米国議会の関係も改善すると考えられます。そして、超党派で議論されるのが減税案なのだから、これはマーケットには良いきざしと考えて良いでしょう。