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アメリカは北朝鮮ミサイルをどのようにして迎撃するのか? FC2さよならシリーズ

FC2からの再掲です。

 

 この問題に関してはブルームバーグ(本家)が要領よくまとめています。今日はその概要をお伝えしましょう。

「 北朝鮮がミサイルを発射すれば、米国の人工衛星は赤外線信号によってほぼ即座にそれを検出する。1分足らずで、衛星は警報を発し、コロラド州コロラドスプリングス近郊のシュリーバ空軍基地の指揮統制センターが対応に乗り出す。
 コロラド州の指揮センターは、ミサイルが上昇すれば、ミサイルを追尾するために、宇宙空間に向かってレーダーを上空に照射する。その5〜7分の間に、TPY-2とSPY-1レーダーシステムは軌道、速度、高度といったデータを収集し、コマンドセンターに送り返す。そうすることで、指揮センターは、どのタイプのミサイルが発射され、米国に到達する可能性があるかどうかを判断できる。この「ブーストフェーズ」は、実際にはミサイルを迎撃する理想的な瞬間であるが、現行の防衛システムでは、この段階での対応策はまだない。
 指揮センターの士官は、ピーターソン空軍基地付近の米北部司令部(ノースコム)と相談した上で、迎撃ミサイル発射を承認する責任を負う、もし時間があれば、彼らはワシントンの国防長官にも通知することもある。
 指揮センターは、フォート・グリーリー(Fort Greely)またはヴァンデンバーグ(Vandenberg)空軍基地のうちどちらが迎撃するのに適しているかを決定した後、発射命令を送る。打ち上げ時までに、北朝鮮のミサイルが最初に発見されてから約8〜10分が経過していると考えられる。
 地上配備型迎撃ミサイルGround-Based Interceptors(GBI)は、大陸間弾道ミサイルICBM)を破壊する唯一の武器であり、そのようなミサイルに対して一度だけ実験が行われ、その際には成功している。米国では、カリフォルニアに4、アラスカに32のGBIがあり、攻撃中の成功の確率を高めるために、到着ミサイルごとに少数ずつ発射する可能性が高いとみられている。その備蓄は年末までに44に拡大すると見込まれているが、複数のミサイルを発射するならば、米国の防衛が劣勢に陥ることは理論上想像することは困難ではない。米国防総省は、6月に、少数のミサイルから国家を守ることができると述べている。しかし、ミサイルの飽和攻撃を受けたときはその限りではない。
 宇宙に到着すると、GBIは、地球大気以外のミサイルを破壊するために運動力を使う装置である大気圏外迎撃機器Exoatmospheric Kill Vehicle(EKV)を放出する。
 レーダーはEKVとミサイルの両方を追跡し、防御を混乱させるためにミサイルが使用するデコイのような対抗策を探知する。TPY-2と海底のXバンドレーダーは、いわゆる「脅威の雲」内の他の飛行物体から弾頭を探知するのに最も適している。リアルタイムの情報の更新は、指揮センターを経由して、EKVに中継される。それをもとにして突入してくる弾頭に誘導するのである。

 この段階で、宇宙を飛行している北朝鮮の核弾頭は、全行程の約3分の2のところにある。全体で約30分の間に米国本土にミサイルが着弾する。

 センサー、ロケットスラスタ、指揮センターからのガイダンスを使用して、EKVはおよそ6〜12分間飛行し、弾頭に飛び火し、核弾頭を完全に破壊し、核破壊を抑止することになる。

 確かに、プロセス全体がより迅速に実行される可能性はある。しかし、参照される履歴がない場合、利用可能な最良の情報は予測にとどまる。専門家によれば、ミサイルの経路を変化させる変数は、例えば、軌道、高度、それにミサイルの目標といった具合に、無限に存在するとのことだ。

 ミサイル迎撃は、一般に、弾丸を別の弾で撃ち落とすことにたとえられる。それは実際にどの程度の頻度で機能しているのだろうか。1999年以来18回の試験で、10件が成功している。5月30日の1回だけが、ICBMに対して実施された。複数のミサイル脅威は考慮されていない。この点では、実験が非現実的であり、わざわざ成功が確実になるように筋書にのっとって行われているという批判がある。デコイ(おとり弾)もほとんど用いられず、日中の高度警戒体制の下で実験が行われているためだ。(以下略)」

 結局のところ、現在のミサイル防衛システムは、まだ発展途上にあり、北朝鮮からのミサイルによる飽和攻撃を受けた場合、そのミサイルが日本にも落ちる可能性が高いということになります。気を付けなければならないのは、アメリカにミサイルを飛ばすよりも、韓国や日本(特に九州・山口)などに打ち込む方がはるかに容易であるということです。 率直に言って、このまま北朝鮮が核を放棄することはないでしょう。我々日本人は頭上に核が落とされる日をおびえて待たねばならなくなっているのです。
 また、上の記事からも明らかなように、アメリカですら迎撃ミサイルは100基も存在しないのです。これはかなりまずい情報といえるのではないでしょうか。